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八木虎造〜世界中で野球する男〜

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何かを養成するボール

Tama1


来週の今頃は試合だというのに

相変わらず練習の連絡が入らない。

毎度同じことを書いていて自分でもアレだが

みんなのテンションが

もろに行動に反映されてしまっている気がする。残念。


なので自分だけでもテンションを上げようと思い

新たなる練習方法に着手。


部屋に上の写真のボールを吊るしてみた。

僕自身は床に座り、そのボールを上下左右に振り

ひたすら眼球だけでボールを追う。

さらにボールにマークされた緑やら青の丸をじっと見つめる。

とにかく見つめ続ける。

5分もすると、眼球の裏のあたりが痛くなる。すごい効果だ☆

最近はパソコンばかりしていたこともあって

動体視力が相当落ちていた気がしていた。なので、これはかなり良い!


しかしこれをやるときは、部屋の扉を閉め切り

外から僕がみられないように配慮している。

『ボウズのアジア人が床に座り、揺れるボールを見つめ続ける』

傍目から見たらかなりヤバイ。間違いなく、ちょっとした人気者になるだろう。


しかしこの練習、自分自身がここ南の島シチリアで

どんどん精神世界に入っちゃってるんじゃないかと軽く心配だ(笑)

2006年8 月27日 (日) カテゴリー: イタリア・野球 | 個別ページ | コメント (7) | トラックバック (0)

警察官にすらビビられる男

Rensyu3


試合日も決まり、もう完全に野球モード!とはいかない・・・

「今すぐにでも練習をしようよ」と

僕がチームメイトに書いたメールに、一向にレスがつかない・・・アイツら・・・


試合に向けてのドタバタは、毎回のことで

これもパレルモ気質と受け取っておきます。

去年、そして今年とリーグ戦を優勝できなかったのは

間違いなく開幕ダッシュに失敗したから・・・とか、もういいわ。

あぁそうですか、勝手に練習しますわ。


仕事を終えて、夕ご飯を食べて

時間もそろそろ夜中か?という頃に

家で筋トレ、素振りをして

走り込みのために外に出る。

家を出てすぐの所に、車の通りがほとんど無い大きな道路があって

そこでダッシュをしたり、色々と足腰を鍛える。


ところが、必ずと言っていいほど

徘徊のパトカーが、2,30メートル先のところから

僕を舐め回すようにチェックしに来る。

そして2,3分、僕の動向を伺ったあと

ゆっくりとパトカーは動き出すのだが

その数分後に現れる別のパトカーが、また僕をチェック。

だいたい1時間そこにいるとしたら、間違いなく5回はこの行動に出会う。


去年、今年と

この広場で走るたんびに、いつもこの目に遭ってきた。

シチリアでは、街中を走る人をほとんど見かけない。

たまに「ドイツのひとかな?」というような人が走っているのを見かけるが

決まって早朝で、夜に走る人は皆無だ。

なので僕が夜中に走っているだけで、もうそれは要注意人物なのだろうけれど

あまり気持ちが良くない。


そして先日、ついにパトカーから警察官が1人降りて

僕に話しかけてきた。

「あ、あの・・・キ、キミは何やってるのかな・・・

 あ!・・・キミはイタリア語・・・わ、わかるかなー??」

ビックリした。警察官が、僕に対してもろにビビってる(笑)

「走っています」

「そ、そうだよねぇ・・・キミは1人??」

「はい」

「キミ、いつも走ってるよねー・・・どうして??」

「・・・・・・。う~ん、野球というスポーツの練習??」

「や、野球かぁー!」

「わかりますか?野球」

「い、いや・・・」

「こうやって、棒で小さなボールを打つんです」僕、やってみせる。

「あぁー!ゴルフみたいな・・・OK頑張ってね!じゃ!!」

ゴルフは知ってるのかよ。行ってしまった。


全く同じことが、ここ2週間で3回。

いままでパトカーの中からのぞかれたことはしょっちゅうだったが

職務質問は1度もされたことがなかったのに、最近はどうした?

ワールドカップ優勝で、やる気が出たのか?イタリア。


しかし全員、向こうのほうが挙動不審。

怖いって!あんなに揃いも揃ってビクビクした大柄な男に

こっち向かって来られたら!!

5メートル手前で立ち止まったまま、見つめたりするなよ!(笑)

2006年8 月23日 (水) カテゴリー: イタリア・野球 | 個別ページ | コメント (5) | トラックバック (0)

吉報☆

Matia


トーナメント戦に出場できる事が決まった。

なんとか9人揃ったか(笑)


勝ち進んだ場合、遠征はどうするかなど

詳しいことは一度全員が集まったときに話し合うらしいのだが

もう、1回でも試合ができればそれでいいや(笑)


もう一度ここで野球ができる。それだけで充分です☆

2006年8 月21日 (月) カテゴリー: イタリア・野球 | 個別ページ | コメント (7) | トラックバック (0)

20年前の今日は、うだるような猛暑だった

Gua


僕には2人の師匠がいる。

1人は写真の師匠。まぁ、今ここにこうやっていられるのも

「あーどうも、カメラマンの八木です」

なんて偉そうに言えるのも、その師匠のおかげで

僕が日本の方角に足を向けて寝ないのは、師匠がそこにいるからだ。

「猿でもなれるカメラマン講座」をアシスタントをしながら開講してもらった。

お猿さん以下の僕でもなんとかなった(笑)

そして師匠は「こいつに教えられるくらいなら、オレは誰にでも教えられる」

と言って、ワークショップを開いた。大盛況。当然だ(笑)

もう絶対に頭が上がらない。いや、全然怖い人とかじゃないんだけど(笑)


そしてもう1人、野球の師匠。

師匠と出会ったのは小学校3年生のとき。

地域の少年野球チームに入会した僕は

学年おきにチームが構成されているのに

なぜか5年生のチームに入った。というか強制的に行かされた。

クラスメイトなどとは違うチームだったので、少し不満だったのを覚えている。


師匠はその5年生のチームの監督だった。

3年生の同級生たちはみんな野球を始めたばかりで

手取り足取り指導者に教えてもらっているのに

僕はいきなり上級生と一緒にノックやバッティングをしていた。

そして理由もわからないうちによく怒られた。


朝練もあった。町内を1時間かけて走る。とても辛かった。

そしてサボると、日曜日にまた怒られた。

なんか辛い日々だった。

同級生がキャッキャ言いながらやっている野球がうらやましかった。


そして何ヶ月か経ったころ、僕は5年生のチームで4番を打っていた。

まだ4番バッターというのがどういう意味があるのも

よく分かっていなかったんじゃないだろうか?

なんか小3のクセに必死だった(笑)


そして僕が3年生が終わって4年生になるとき

僕は同級生たちの、つまり新4年生のチームに戻ることになった。


チームが変わってしまったら、師匠と会う機会もなくなってしまった。

でも最後の朝錬のとき、師匠が僕に話してくれた言葉は

一言一句とはいかないが、ほとんど今でも覚えている。

なんだろう、あの日は曇りだったことも覚えている。


「八木、オレは高校3年の春までずーと補欠だったんだよ。

いつも球拾いばっかやらされてて。

それで暇だから、球拾いしながら遠投ばっかしてたんだ。

それでな、下級生にレギュラーのヤツがいて

そいつがエラーしたときにさ、球拾いのオレのところにその球が転がってきて

「おーい片野、そのボール捕ってくれー」って言うから頭きてな

おもいっきり球をホームに向かって投げつけてやったら

すごい球がいってな「片野は肩が良い」ってことになって

オレは最後の夏、ライトのレギュラーになったんだよ。

いいか八木、何でもいいんだよ。打つのでも走るのでも投げるのでも

1つで良いから頑張って「オレはこれがすごいんだぞー」

ってものを手にすれば良いんだよ。

オレはお前の野球が好きなんだよ。お前は良い選手になれるよ。

これからも一生懸命頑張れよ」

いまでも心に残る言葉だ。一生忘れない。


今日8月20日、僕の野球の師匠20回目の命日。

弟子はまだ野球を続けています。

2006年8 月20日 (日) カテゴリー: イタリア・野球 | 個別ページ | コメント (11) | トラックバック (0)

U.S.パレルモ代表☆

Borsa500


ここ数日落ちていたテンションが一気に上がった。

上がる日には良いことが立て続けに起こる。まさにそんな1日だった。

上がった要素は色々とあったのだが

まず、野球の移動用カバンが届いた。


毎年、開幕前にスポンサーなんかから色々なものが支給される。

野球用具なんかもあったりするのだが

そこらへんはスタッフが管理しているのでよくわからない。

きっと試合用ボールなんかもある気がする。


そして、そういう類のものとは違うものが支給されることがある。

ここ数年では移動時に全員が着る、チームロゴの入ったポロシャツやら

同じく移動時の短パンだとか、練習時に着るTシャツやら・・・

1度、何かの映画祭のTシャツなんかを着せられたこともあったが

宣伝効果はあったのだろうか?(笑)


で、今年も色々と支給されたらしいのだが

僕は今年、パレルモに到着したのが開幕の3週間前だったりして

もらいそびれていた。


そして上の写真にあるカバンを持っている選手がわんさかいたので

「それ、僕も欲しい!」と頼んでみたところ

今年はスポーツ用品店のスポンサーがいたらしく

そこにお願いして、僕用に持って来てやると言われた。


2年前だったか、チーム入りしたときに

これと同じようなカバンをもらったのだが

もうボロボロになっていたので、ちょうど良かった。

しかもそのときもらったものは全面黒で

上のようにパレルモカラーの、黒・ピンクを基調にしたものではなかった。


ここで生活する以上、色の好き嫌いや「ピンクと黒ってどうかと思う」

などと疑問を投げかけるのではなく

この色に愛着を持たなくてはいけない、そしてこの色を誇れ!

と常々自分に言い聞かせているので、そんな僕には格好のカバンだ。

決して罰ゲームではない。意外に慣れるもんだな(笑)


そしてもうカバンのことなどすっかり忘れていた今日

チームメイトがわざわざ僕の家まで持って来てくれた。

さっそくウキウキで梱包を解く。


「おおぉ~!!」

黒いカバンにピンクの縁取り。

そしてカバンの横には大きくPALERMOと書いてある!感動!!

持って来てくれたチームメイトも僕の反応にご満悦。

そしてPALERMOと書かれた横にU.S.とあったので

ちょっと気になって質問。

「う~ん、サッカーのことはよく知らないなぁ・・・」

ん??今、なんか変なこと言わなかったか???

「サッカーって??」

「セリエAのサッカーだよ。このカバン、あのチームのオフィシャルグッズだよ。

 いいかヤギ、オフィシャルグッズは高いんだぞ!
 
 これだって、もし普通に買ったら30ユーロくらいするんだから!!」


・・・おい。

キミたちは揃いも揃ってサッカーのカバン持って移動してたのかよ!?

あ!そういえばみんなのカバンには鳥のマークの下に

『PALERMO BASEBALL』ってロゴが入ってたじゃん!

僕にはそのロゴがついてないんだけど!!

「あ、あれ俺たちが勝手に貼ったの。知らなかった?

 あれ、アイロンで貼り付けて・・・」

キミたち、そんなマメなことを・・・

「オマエもやりたいのか?だったら文房具屋に行って買って来いよ!

 どこでも売ってるから」

「僕アイロン持ってない・・・」


そして1つ気になったことがあったので聞いてみた。

「これって全員に支給されたの?」

「違うよ。スポンサーの用品店に

 2005年のサッカーのオフィシャルグッズが余ってたから

 それをもらったんだよ。

 そしてヤギ、オマエのはわざわざスポンサーが2006年バージョンを・・・」

おぉ・・・僕はスポンサーからゴネて

最新のサッカーグッズを無料で手に入れたのか・・・

僕はあわててスポンサーに電話した。


でもやはりうれしい。

カバンの中にスパイクやグローブを入れる。

早くこれを持って練習がしたくなった。

ロゴは明日、文房具屋に買いに行こう(笑)

そして今日はベッドのすぐ隣に置いて寝よう☆

2006年8 月19日 (土) カテゴリー: イタリア・野球 | 個別ページ | コメント (4) | トラックバック (0)

落ち込んでばかりもいられない

Cielo_1


ここ数日、テンションが低い。理由は野球。

9月の頭からトーナメント戦が始まるのだけれど

それに対しての連絡が、一向にチームメイトなんかから来なかった。


それで僕の方から確認の電話を入れたのだけれど

みんなのテンションが異常に低い。

そして「オレ、9月は忙しいから・・・」

と言ってトーナメント戦を辞退する選手も数名。

というか、レギュラーメンバーがほとんど辞退・・・


今年の春から行われていたリーグ戦は6チーム中3位という

我がチーム史上、どん底の成績だった。

リーグ戦終盤、選手や監督から

「来年は・・・」という言葉を度々聞かされた。

来年ここにいないことがほぼ確実な僕にとっては、この言葉が痛かった。

『彼らには次がある。僕には次はない。なのに・・・』

そんな感情が、僕の気持ちをナーバスにさせた。


そんなリーグ戦終盤の気持ちを、きっと彼らは入れ替えたんだと思う。

『もう今年はおしまい。来年に気持ちを向けよう』と・・・

それならそれで仕方ない。僕は残された数試合を一生懸命やるだけだ・・・


そう割り切ろうと考えていたら、追い討ちの一手。

「ヤギ・・・オレたちトーナメント戦に出られないかもしれない」

考えてみたらその通りだ。9人いなきゃ野球はできない。

レギュラーメンバーは次々に辞退している。


現在電話でそれぞれに、ゲーム出場の意志があるか確認中。

そして途中経過を聞く。

多分9人は揃うだろう。

でもシチリアでのトーナメントに勝ち上がっても

決勝トーナメントのローマには行かないということになりそうだ。


じゃあ、何のためにトーナメントに出るの?

あと数週間でトーナメント戦開始なのに、勝つための練習は何回できるの?

レギュラーがごっそり抜けて試合になるの?

僕のイタリア野球は、あと1試合でおしまい?もっとできるの?

それとも今シーズンの活動は、もうおしまいなの?

シリアスになってしまう要素はいくらでもある。

でも、グダグダ言っても仕方がない・・・


とりあえず気分転換で街に出た。

いまイタリアの人々はバカンス中なので、街には外国人観光客であふれかえっていた。

僕もなぜかその中に混じって観光した。

何もない街だと思っていたが、意外と見所があることに気づく。

パレルモに初めて来たときのことを考えてみた。


あのとき、まさか数年後にこの土地のユニフォームを着て

野球をやっているとは全く思ってなかったな。

なんて考えていたら、少し気が楽になった。


今は、もう1度この街のユニフォームを着て野球ができるように願っていよう。

そして僕は、あのユニフォームに自信を持って袖を通せるように準備していよう。


と、これを書きながら自分を鼓舞してみました(笑)

2006年8 月18日 (金) カテゴリー: イタリア・野球 | 個別ページ | コメント (2) | トラックバック (0)

伝説のボール

最近、やる気が起きない。主に練習方面で。

なんというか、1人でやっててもちっとも面白くない。

「何か良い気分転換はないか?」と友人にメールしたところ

「桜庭の試合でも観ろ」と

その手の動画が観られるサイトを教えてもらう。


僕のネット環境はバカみたいに遅いので

動画を観るのも一苦労なのだけれど

桜庭の試合なら気分転換じゃなくても観たい。

1時間以上かけてダウンロード。

観れた!!ネットってすごいな。


そしてこのサイト、スポーツ関係の動画が充実しているようで

格闘技・プロレスの動画、サッカーの動画

そして野球の動画なんかをチェック。

まずはイチロー。

ホームランキャッチやレーザービームの動画。

惚れ惚れする。感動☆


そして僕がいま一番気になっている『藤川球児』を検索。

キャッチャーの矢野が

「いま僕は、何十年後かに伝説になる球を受けている」

という発言をしていて、それ以来「どんなもんか?」と気になっていた。


なんだあれ? バッター、打てる訳ない。

とてつもない勢いでホップしてる。

そして矢野の単純明快なリードが良い。僕が観た『47イニング無失点記録』の試合

矢野は全部ストレートを投げさせていた。きれいに三者凡退。


秋に日本に戻って、まだ野球をやっていたら

ぜひ生で藤川が投げる試合を観てみたい。

そんなことを考えながら、次々と動画を観続ける。

気がついたら20時間、ひたすらパソコンの前にいた。

学生プロレスとか、ザ・エスペランサーの正体とかは余計だったな(笑)


強烈に素振りがしたくなった。充電完了☆

2006年8 月16日 (水) カテゴリー: イタリア・野球 | 個別ページ | コメント (5) | トラックバック (0)

心理学的にみる、我がチームの未来

Ignazio001


彼は今年、僕のサードへのコンバートによって

空席になったセカンドを守る。

打撃では僕と1,2番でコンビを組んでいる。

そしてスタッフとのやり取りから、試合前の対戦相手との電話連絡などを

一手にこなす。試合内外でも貴重な選手だ。


職業は心理学者。どんな仕事内容か聞いてみたのだが

色々な会社や施設に行って、色々なことをしているとのこと。

そして現在、南イタリア内の心理学者たちの間で大きなプロジェクトがあって

それに関わっているらしい。

それ以上の深い話は、僕のイタリア語学力では良くわからなかった(笑)


心理学者というと、何かこう穏やかな

人を一歩引いたところから眺めるような、そんなイメージを思い浮かべるのだが

彼はそうではない。

チームの移動時は率先して、少々キツめの下ネタでみんなを盛り上げる。

そしてある試合前にキャッチャーが怪我をしてしまい

「おい、オマエが替わりにキャッチャーをやれ!」

と監督が指名したときに、彼は烈火のごとく拒絶。

「俺キャッチャー好きじゃない! 俺キャッチャー好きじゃない・・・」

完全に子供そのものだった。


僕はよく彼の車に乗って練習に行く。

そこではいつもチームの話やら、選手の話をする。

「この前の試合で退場になったアイツだけどさぁ

 あれは家庭的に問題があるんだよ。それが原因で試合中に・・・」

退場になったアイツとは、普段は非常に穏やかな選手なのだが

試合になると「ここで怒るか??」という場面で

相手選手なんかとケンカをして退場を食らう選手がいて

その彼のことを言っているのだが

僕はよくその彼の家でご飯をご馳走になっていて

家族は皆ものすごく仲が良く

そんな感じじゃなかった気がするんだが・・・

まぁ心理学者が言うことだから、僕のいないところで

きっとあの選手の家庭は問題があるんだろう・・・


そして心理学者、さらに他の選手についても言明。

「あの、エラーして怒って帰っちゃったヤツいるだろ?

 アイツは奥さんと問題があるんだよ」

怒って帰っちゃったヤツと僕は、職業が一緒で

よく機材を貸し借りしあっている。なので球場外で会うことも多い。

ついでに飲みに行ったりしている最中

彼は奥さんにベタベタなメールを送りまくる。

そして電話になると「愛してるよ、アモーレ☆」「今から帰るよ、アモーレ☆」

「僕が帰るまで寝ちゃダメだよ、アモーレ☆」

といったセリフを連発。

そして僕が2人を撮ってあげた写真を宝物にしてくれている。

奥さんとの問題は・・・いや心理学者の言うことだ、きっと問題アリなんだろう


そして彼は、このチームの監督の采配についても心理学的検知から言及した。

「うちの監督、2アウトなのにバントのサイン出しただろ

 いつもやんだよ、ああいうミス。

 アイツはずっと前から奥さんと色々あってさ・・・」

それはちょっと聞いたことあるわ。去年、奥さん観戦に来てないし。

でもなぁ、さすがにこれは・・・単なるサインミスじゃ・・・

しかも今年は2人ともすごい仲良いじゃんかよ!


まぁ野球のユニフォームを身にまとっての発言なので

彼の名誉のために、仕事モードからの発言ではなかったと理解しよう(笑)


そして彼はある日、試合前の移動先の港で

僕にとんでもないことを言い出したことがある。

「おい、ヤギ。問題発生だ。

 オレたちは今17人いる。

 ところが船のチケットは16枚しか用意しなかった。

 いいか、今からオマエは服を脱いで私服になれ。

 俺と一緒に2人で船の中に行こう。

 そしてオマエは係員にチケットを出せ。

 オレはオマエの荷物持ちとして行って

 係員には『荷物を置いたら戻る』と言って

 チケットを持たずに甲板に入り込む。

 そしてうまく甲板に上がったら、みんなの中に紛れ込むから」

・・・ん??

おいおい・・・ヤバくないか!?

これって、もしバレたらヤバイだろ・・・


そんな僕の気持ちとはお構い無しに

彼は移動時に着る、チーム揃いのポロシャツを脱ぎだし

私服を自分の荷物から取り出している。

僕もどうして良いかわからなかったが、とりあえず私服になる。

そして、ボール用具やら、キャッチャー防具など

かなりの荷物を2人でそれぞれ両手いっぱいに持ち

船入り口の、チケットをモギる係員のもとへ向かった。


向かう途中

「いいか、オマエは旅行者だ。

 なのでオレとオマエとの会話は英語を使え。

 そしてオレはオマエの荷物を甲板に置いたら

 すぐにオレは船から降りるっていう設定だからな」

おいおい・・・大丈夫か・・・


そして緊張の一瞬。まず僕が係員にチケットを出す。

僕は係員に向かって、夜なのに「おはようございます」と一言。

しかも僕の中で精一杯下手くそなイタリア語発音で言ってみた。


僕はチケット切り場を通過。そしていよいよ彼の番

「あ~、私は彼の友人なんだが、彼の荷物がたくさんあり過ぎて

 甲板に荷物を置いたらすぐにこの船を出るので

 彼の荷物を中まで持って行ってあげたいのだが・・・」

係員、間髪入れず

「それは無理です」

「それはわかりますが、彼はこんなに荷物を持っていて・・・」

「チケットが無い方はここから先には入れません」

「でもこんなに荷物が・・・なんとかならないだろうか??」

「彼(僕のこと)が2往復して

甲板までその荷物を持って行くしかありませんね」

こんな問答を10分ほども粘った心理学者はあきらめ

「・・・そうですか、わかりました」そして続けて僕に

「ヤギ、なのでここでお別れだ。

 これからも元気でな!日本に遊びに行くからな!!」

と言って僕を抱擁。あれ、おまえイタリア語使ってるぞ

と思いながらも僕は

「ありがとう、ありがとう!さようならー!」

必死に三文芝居に付き合う。


結局彼は、チケット売り場から正規にチケットを手に入れ

先ほどの切符モギりの係員にわからないよう

チームのポロシャツに着替え、帽子を目深にかぶって

チームメイトらと船に入った。


そして僕の待つ甲板に上がって来るなり

「いやーダメだったなぁー☆」と子供のような笑顔。

おい!入れちゃったら入れちゃったで大変だろう!!

ほんとにドキドキしたよ!!


「しかしヤギ、『ありがとう、ありがとう!さようならー!』って!!

 なんだよアレ(笑)」

そう言って、彼はチームメイトに僕のモノマネを披露した。

おかげで僕はこの日の船内、チームメイトからひたすら

『ありがとう、ありがとう!さようならー!』

と言われ続けた・・・


彼が、我がチームのキャプテンだ。

2006年8 月12日 (土) カテゴリー: イタリア・野球 | 個別ページ | コメント (3) | トラックバック (0)

聖書片手に・・・

Nomo1


『野球のパワーアップトレーニング練習法』なる本を

僕の誕生日に、彼女からプレゼントされた。

なんと著者は、あの立花龍司先生である!!

そして内容がステキすぎる!!!


チームメイトは皆バカンス中のため、現在全体練習ができないのだが

僕はトーナメント戦へ向けて

この本を参考に、絶賛・自主練習中だ☆


読者の大半は高校生なんじゃないかと思うが

僕は高校時代ラグビーをやっていたので

自主的に1人で野球の練習をする場合の

そこらへんのトレーニング方法などが欠落していた。


そのあたりを完全に・・・『眼からウロコ』のオンパレード!!!

蔦先生の本が旧約聖書なら(すいません、読んだことないです・・・)

こちらは、さながら新約聖書か!?


うぉ~、インナーマッスル!!!

僕も野茂のようになりたい☆

2006年8 月11日 (金) カテゴリー: イタリア・野球 | 個別ページ | コメント (6) | トラックバック (0)

別れと旅立ち

Gaby


1人の選手がチームを離れる。

僕はこのチームに入ったとき、イタリア語がさっぱりわからなかった。

そんな僕に『通訳係』としてついてくれたのが彼だった。

イタリア語→英語だけでなく

パレルモ弁(イタリア語とは全く別物)→英語

までやってくれたのだが、英語がイタリア語以上にわからない僕としては

まったくもって良い迷惑だった(笑)


そんな僕の状況をいち早く察知したのが彼。

そして「言葉なんて必要ないよー。オレたちは野球やってんだから

あ、でもイタリアの女の子を口説きたくなったら、そこに俺を連れて行け☆」

と彼は僕にウィンクした。


この一言は、なんだかわからないがすごく僕を楽にした。

野球だけでなく、仕事、生活

全ての場面で楽になった気がする。

気が楽になったら、どんどんイタリア語を吸収できるようになった。


いつしか彼の『ヤギ、通訳係』は解かれ

イタリア人ですら判読できないと言われる

パレルモ弁を聞き取れるにまでなった。

からくりは・・・会話の内容を聞いてみると

彼らはいつも女の話か、オンナの話か、おんなの話しかしていない。

毎日のように聞いてたら、そりゃ覚えるって(笑)


さらに彼から覚えたもの。女の子に電話するときの言葉遣い

とくに第一声を研究。

「チャオ、○○!!」

ここの○○に名前を入れるのは、普通すぎて粋じゃない。

ベッラ(美人)、カリーナ(かわいい)などを入れると

グッと粋になる。彼はここの言葉を常に駆使しまくっていた。

「チャオ、黄金色!」

『おぉ~、いま“黄金色”って言った!“黄金色”は褒め言葉なのか!!』

毎回彼の語彙の多さと、電話をする女の子の多さに驚かされる。

そしてそんな彼から勉強した僕の電話時の第一声は

ものすごく軽薄である。日本でやったら、女友達が減るだろう(笑)


2日後に彼は旅立つ。14歳までアメリカで過ごした。

野球は向こうで覚えた。

そしてパレルモに来て、今のチームに入った。

仕事は29歳にして大学の助教授。次のステップに進むためには

一時期仕事を中断して、論文を完成させなければいけなかったらしい。


彼は僕に言った。

「オレは1年くらい仕事を休んで論文を書かなきゃいけなかったんだよ。

でもパレルモを離れるのが心残りだった。

家族やガールフレンドはここに住んでいるし。

でも、おまえが1人でここに来て野球をやってるのを見てたら

オレもオマエと同じことがしたくなった。オレはアメリカに行くよ。

論文を書くためだけど、向こうに行ったら野球チームに入る。

どんなチームでも良い。多分1年くらい滞在すると思う。

今からすごく楽しみだよ」

あまりの急な一言に本当にびっくりした。

彼の旅立ちについてと、そんな見られ方をしていたことに。


今日僕は彼に言った。

「2人が野球を続けていたら、どっかでまた必ず会えるよ。

アメリカかもしれないし、メキシコかもしれないし

キューバ、日本、イタリア・・・どこでか分からないけど

いつかまたオマエと野球をするよ。

敵だったら、オマエの球を打ってやる。

味方だったらバッテリーを組もう」


彼は満面の笑顔を僕に返した。

Gaby2

2006年8 月 8日 (火) カテゴリー: イタリア・野球 | 個別ページ | コメント (8) | トラックバック (0)

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