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僕と一緒に、世界を回ろう。

Mamma


パレルモに、こんな来方をしたくなかった・・・


僕には“パレルモのお母さん”と呼んでいる人がいる。

仕事仲間のお母さんで、週に何度も昼食や夕食を作ってもらっていた・・・


シチリアの人たちは聞く

「ヤギ、○○は食べたことはあるか?」「××は食べたことないだろう?」

「ううん、○○も××も食べたことあるよ。美味しいよね。」

「・・・でもな、俺の母ちゃんが作る○○や××のほうが美味いぜ☆」

負け惜しみのようなこの言葉を、男たちはおくびもせずに吐く。

でも、彼らの言っていることは当たっている。

たしかにシチリア料理は、どんな偉そうなレストランで食べるよりも

シチリアの家庭で作られる料理の方が美味しい。

それぞれの家庭にそれぞれの味。色々なところで食べさせてもらった。

そして、掛け値なしに“パレルモのお母さん”が作る料理が

シチリアで一番美味しかった。

いつもそれを口にできる僕は、本当にラッキーだった。


その“パレルモのお母さん”が亡くなった・・・

交通事故にまきこまれ、あっという間にいなくなってしまった。

そのためにここに来た。こんな渡航は本当に嫌だ・・・


後悔することがある。

僕が日本のことを話すたびに“パレルモのお母さん”は目を輝かせていた。

「いつか僕が東京に戻ったら、遊びに来てね」

と言うと

「何言ってるの!あなたはずっとパレルモにいるんでしょ!?

それに私はもう歳だから、旅行は・・・」

と言って、言葉を濁す。

食卓を囲むみんなで否定する。

「そんなこと言うなよー。

まだ70歳なんだから、日本だろうがどこにだって行けるよ!!!」

こんな発言に、僕はいつも笑顔で同調していた。


“パレルモのお母さん”は、僕が東京で撮った紅葉の写真をすごく気に入っていた。

「東京の木はどうしてこんな綺麗な色になるの?素晴らしいわ!!」

「京都という所はもっと凄いよ。それに京都という街は・・・」

このとき交わした会話が頭にこびりついて離れない。

京都や鎌倉や浅草、銀座、そして僕が生まれた地元・・・

連れて行きたい所なんて吐いて捨てるほどあったのに・・・


僕が9月にパレルモを離れるとき、“パレルモのお母さん”は

「いい?あなたの家はパレルモにもあるのよ。

 何かあったらすぐに『帰って』来なさい。

いつでも私はあなたを待っているからね」

・・・もう帰るところ無くなっちゃったよ“お母さん”・・・


いまだに信じられない・・・

今にもどこかの街から小旅行を終えて

パレルモに帰ってくる気がしてならない。

いいや、パレルモに住む僕の仕事仲間のすぐ近くに、

パレルモ近郊に住む彼のお姉さんのすぐ近くにも、

それからイタリア北部に住むもう1人のお姉さんのすぐ近くにも、

そしてこれからキューバに渡る僕のすぐ近くにだってお母さんはいてくれる。

みんなの近くに“パレルモのお母さん”はいるんだと思う。

常にみんなのすぐそばに・・・


だから、僕はいつか絶対に京都の紅葉を観に行く。

2006年12 月19日 (火) カテゴリー: イタリア・シチリア | 個別ページ | コメント (5) | トラックバック (0)

パレルモ到着☆

Palermo


またもや戻ってまいりました、シチリア島☆

ここを出るたびに

「次ここに戻るのは何年後になるのだろうか??」

なんて一大決心で飛び発っておきながらも

考えたらまだ2ヶ月ちょっとしか経たないうちに

もうこの地を踏んでいる・・・

そしてここに戻るとホッとしてしまう自分にも違和感アリ。

東京生まれのシティーボーイを自認しているつもりなのに☆


何にも変化は無い。

たかだか2ヶ月、そんな短期間で変われるくらいなら

元々こんな街並みになってないわな。

ただ、季節が変わってしまった。

これから南イタリア、特にシチリア旅行にでも行こうかと

考えている方がいらっしゃるのなら

冬は絶対に来ないほうがいい。

全てが寂しいから。街も人も、何もかも。

シチリア島の人々はみんな、ただ夏のために生きているといっても過言じゃないと思う。

夏、爆発的に行動するために、それ以外の季節は眠り続ける。現在、長い長い冬眠中。


まぁ、今回は1週間の滞在。

友人たちと再会して、食べまくって、飲みまくって・・・

キューバに飛ぶ心の準備を整えるにはちょうどいいのかも。


そういえばパレルモのメインストリートには

これみよがしに大きなクリスマスツリーが置かれている。

今年はキューバでクリスマスを過ごすことになるのか。

なんかイメージできないな・・・

2006年12 月15日 (金) カテゴリー: イタリア・シチリア | 個別ページ | コメント (11) | トラックバック (0)

2人の夢

Gratta


僕と、僕の仕事仲間には夢がある。

2人で宝くじを大当たりさせること。

そして家を4つ持つ。

僕はシチリアに1軒、もう1つ好きな国に1軒

そして彼は東京に1軒、もう1つ好きな国に1軒。

こうすればお互い、東京⇔シチリアの行き来が楽になる。

そしていつも「それぞれどこにもう1つ家を持つか?」

で盛り上がる。でも実際当たってしまったら

まず確実に、お互いの故郷に家を持つという現実的なことは忘れて

「僕はアイスランドだな~」

「俺は4番目のガールフレンドが住んでるブリュッセルだなぁ☆」なんて話す。


1週間前、なかなか言い出せなかった別れの日を

「もうこれ以上伸ばせない・・・」

と断腸の思いで、彼に伝えた。

「そうか・・・また東京に戻るか」

そう言ったあと、彼は

「ヤギ、おまえの小銭を全部出せ。宝くじ買って来よう!」

そう言って2人でかき集めた何ユーロかが

何枚かのスクラッチカードになった。


2人で手分けして削る。

当たりは、僕が削った1枚のみ。2ユーロ。

「おまえはやっぱりツいてるなぁ」

その一言が凄くズシリと響いた。


そして出発の前日、つまり今日

彼のお母さんが71回目の誕生日を迎えた。

「もう、若くないし何も欲しくない」

と言っていた彼のお母さんに、無理矢理花束をプレゼントした。

ことのほか喜んでくれた。

普段僕と、彼のお母さんは

お互い他人同士の利点なのか、本当の両親や息子より仲が良い。


シチリアに滞在した合計2年間

週に最低1度は彼のお母さんの手料理を食べた。

僕のシチリアの味は、彼のお母さんの手料理の味。


あと5時間でシチリアを離れます。

数時間後、きっとまた空港で僕は号泣していると思う(笑)

Gianca

2006年9 月27日 (水) カテゴリー: イタリア・シチリア | 個別ページ | コメント (3) | トラックバック (0)

魔術的なロシア系男爵

Negroni4


これまで週末は野球があったために

どうしても付き合いが悪くなりがちだったが

いまは心置きなく週末にお酒が飲める☆

そんなことを理由に、毎晩飲み歩いている。


だいたい21時くらいに待ち合わせをして、BARなどで軽く1杯飲む。

スパークリングワインだったり、ビールだったり。

そして22時ちょっと前くらいに、レストランやらピザ屋に行って

吐き気をもよおすまで腹ごしらえをする(笑)

その後、食後酒なんかを飲んで店を出て、飲み屋なんかに向かう。

ここからが問題だ。


野球チームの飲み会なんかはベネズエラ人の監督がいる。

監督はもう40年もイタリアに住んでいるので

イタリアのお酒については何から何まで知っている。

「お~オマエこれも飲めるのか!

じゃ、こんなお酒もあるんだけど、飲んでみる?」

などと言って、僕に飲ませるために

店員に奥の倉庫まで取りに行かせたりする。

基本的に飲み会は割り勘なので、ぐだぐだになるまで飲み続ける僕らと

コカコーラばっかり飲んでいるイタリア人チームメイトの払う金額は一緒だ。


倉庫の奥から出てきたお酒は、明らかに

「俺、相当高いぜ☆」と言ったおもむき。

周囲の仲間に確認する。呆れた顔で「いいよ、飲め」と、手で合図。

「このクソ外国人どもめ!」という周囲の冷たい視線をよそに

喜び勇んで飲む外国人2人。

というか監督、あんた、僕の名前を使って単に飲みたかっただけだろ(笑)


でも野球のときは監督がいるので問題はない。

問題は、それ以外の仲間と飲むときだ。

「お酒が全く飲めなくてー」と言う人はむしろ少ない。

そのかわり泥酔するまで飲み続ける人も少ない。

みんな「たしなむ程度」だ。


「なんでだろう?」僕の出した結論はこうだ。

僕はお酒を飲むことが好きだけれど

それ以上に「飲み会」という響きと状況が好きだ。

その証拠に、家に1人でいるときはほとんど飲まない。

「飲み」であって、「会」ではないから。

そしてシチリアの人たちは、お酒の力を借りなくても

「会」を開く能力を持っている。

昼でも夜でも、アルコール無しで歌い、笑い、ケンカする。

もう毎日が「飲み会」みたいなもんだ(笑)

だから回りくどくお酒を飲む必要がないんじゃないだろうか。


食後に「じゃ、もう1軒行くか」ということになって

次のお店に行ったとしても、飲むお酒は1人、1杯か2杯。

しかもコーヒーとかをオーダーするヤツがかなり多く

「じゃ、ワインでも開けるー?」などとはクチにも出せない雰囲気だ。

わかっちゃいるが、やはり物足りない・・・

そこでみつけたとっておきの逸品☆

ネグロスキ。

Negroski

ジン、ウォッカ、マティーニをカクテルしてストローで飲む。

このストローが曲者で、一気に酔いを呼び起こす。

なので周りのペースに合わせながら、確実に1杯で酔える。


外国人がネグロスキを飲んでいると言うのを聞きつけ

店の奥から、カクテルを作っているオッチャンが僕のもとへ。

「ネグロスキは南イタリアのカクテルで~、そもそもー・・・」

ホントかよ!ジンにウォッカでしょ??

もう、そんなウンチクどうでもいいから、もっと飲ませろ(笑)

Negroni2

2006年9 月17日 (日) カテゴリー: イタリア・シチリア | 個別ページ | コメント (6) | トラックバック (0)

イタリア文化に触れながら練習

Bol


仕事が終わり、帰り仕度をしていると

「ヤギ、俺とフットサル行かない?」

と仕事仲間に誘われた。

1人で筋トレしたり素振りしたり

なんかこもり勝ちだったので、フットサルなら良い運動になるなと思い

「いいよ、行く!」と、快諾。


グラウンドに行くと、みんな準備運動していた。

メンバーは仕事仲間の小学校からの仲間達(43歳くらい?)と

その息子やら親戚たち。

夏のバカンスシーズンになって、みんなが各地方から里帰りしてきたので

フットサルでもしようかと集まったらしい。自己紹介をする。

「おぉ!ナカムラが俺たちと試合するぞ!!」

ナカムラか・・・期待が高いな。せめてヤナギサワにしてくれ(笑)


適当に2チームに分かれ、ゲーム開始。

僕は古傷の左ヒザに問題があるため、あまり無理はできないので

前半はキーパーに回る。

『イタリア人はみんなキーパーが下手』

僕がこれまで街なんかでやっている草サッカーを観てきた結論だ。

というか球技=サッカーなので、ボールを手で扱うことに慣れていない気がする。

だいたいの人間がボールを投げるとき、俗に言う『女投げ』だ。

「ちょっと良いところ見せちゃおうかな☆」

ニヤニヤと企む。


ところが、両チームに散らばっているオヤジたちが凄かった。

さすがにスピードはない。のろのろとドリブルをしてゴールに向かう。

そこに運動量豊富な15,6歳の少年たちがボールをカットしに来るも

1人抜き、2人抜き文字通り完全に子供扱い。

そしていつの間にかゴール前にいる僕の前に。

股抜き、フェイント、そしてバイシクルシュート

あっさり3点を献上・・・。

何この人たち!? 強いぞ、オヤジ!!


そういえば以前、仕事仲間が言っていた

「日本に行った選手でトト・スキラッチっているだろ?
 
 俺はアイツと同じ少年団でプレーしてた。

 歳がちょっと違ったけど、アイツとプレーしたこともあるよ」

あれは、日本人に対するリップサービスじゃなかったのか・・・


僕が悔しがっていると

「キーパー変わろうか??」とチームメイトに言われる。

そうだった、これは遊びであって遊びじゃなかった。

試合後のジュースを賭けている。負けたチームが勝ったチームに奢る。

そして、プレー中のメンバーたちのホンキ度が尋常じゃない。

審判がいないので、判定などは自己申告制なのだが

明らかにハンドの場面でも「違う違う!」とアピールしたり

ピッチを出たボールを誰が最後に触ったかで、言い合いをしてみたり

かなりホンキだ。

イタリア人、やっぱりサッカーに関しては融通が利かない(笑)


「ううん、大丈夫。まだキーパーやりたい!」

そう言ってみたのには、自信というより

これでピッチに立ったら、どれだけチームの足をひっぱるかわかんないという

オヤジたちのプレーに完全にびびった感情から。

なんでこんなに上手いの?

30過ぎとは言え「毎日運動してます☆」くらいの運動神経では

どうにもカバーできないくらいに上手い。

僕がチームに貢献できる場所は、もうキーパーくらいしか見当たらない(笑)


後半もキーパーを買って出る。

というか、このチームのフィールドプレーヤーなんて嫌だよ(笑)

彼らのプレーに僕の目が慣れてきたのか

なんとか無失点に。というかやっぱりオヤジたち、前半に動きすぎたせいか

プレーにキレが全くなっただけと言うか(笑)


試合が終わりグラウンドを出る。

仕事仲間に「みんなサッカー上手すぎだよ」と言ったら

「えへへ。ヤギ、オレは野球のことは全くわかんないけど
 
 サッカーはこんなちっちゃいときからやってんだよ(笑)」


なんというか、僕がイタリアで野球をやっているときの感覚とは全くの逆体験。

きっと彼らは僕を見て「あらあら、あんな簡単なフェイントに引っ掛かって」

とかって目で見てたんじゃないだろうか?

う~ん、完全に1本取られた。

2006年8 月15日 (火) カテゴリー: イタリア・シチリア | 個別ページ | コメント (3) | トラックバック (0)

外貨、横流しの刑☆

Macc04


今の僕はエコノミックアニマルを地で行く。

仕事させろ!そして僕にユーロを獲得させろ!!

そんな感情が芽生えたのは3週間ほど前の

ある事件がきっかけだった。


5月、カメラが壊れた。突然だったが、日本で2年前に8万円で買ったカメラで

そんなものをイタリアでの仕事に使っていた。

日本だったらこんな選択肢はない。

ただ長い休暇のつもりでイタリアにやってきた僕にとって

ここで仕事をするという状況は予想していなかったので

そんなカメラしか持って来ていなかった。

しかしここイタリアではこのカメラで通用してしまう。日本製ってすごい。

この金額でプロみたいにきれいな写真が!すばらしい☆

でも案の定、シャッターの切り過ぎでいかれてしまった。

まぁ2年間、よく頑張ってくれたと思う。


ただこうしている間にも仕事がある。なんとかしなければ・・・

シチリアにあるプロショップとは名ばかりの、写真機材屋に行く。

めぼしいカメラを既にネットでチェックしていたので

そのカメラがあるか店員に聞く。

「う~ん、2週間後になれば入ってくるかなぁ・・・

 金額?多分2800ユーロ(約40万円)かなぁ」

この曖昧な返事に僕は、大いに慌てた。

「やばい・・・こりゃ1ヶ月待っても手に入んないな」

次の手を打たなくては。


思案していたら、アメリカにいる友人がネット購入の方法を教えてくれた。

かなり安い。日本より安いんじゃないか?さっそく手続き。

ところがトラブル発生。

日本のカードを使って、アメリカで買って、それをイタリアに送るには

色んな手続きが必要らしく、かなり時間がかかってしまいそうだった。

購入を断念した。


そして最後の手段。

「日本から持って来てもらう」まぁこれが一番だな。

東京にいる彼女に電話する。

「あのさぁ・・・今月(5月)中にシチリアに来てくれるんだったよねぇ??」

「え?仕事があるから無理だよ。たぶん7月」

・・・やばい。この時期は友人たちも、誰も来ない。


そして本当の最終手段、郵送してもらうことにした。

「ヨーロッパ・フランスは3日で、イタリアには5日であなたのお手元へ」

が売りの国際郵便、なんでだか知らないけど通称・EMS。

「イタリアは郵便事情が悪い、送ったはがきが1年後に着いた――

なんてのは過去の話。いまはそんなことはない。私たちは世界へ向けて・・・」

この一文を信じた。僕がバカだった・・・


何日待ってもカメラはやってこない。10日、20日、30日・・・

「あなたの郵便がどこに、いつ到着するのかすぐにお教えします」

と偉そうにホームページに書いてあるサービスセンターに電話する。

「いや・・・あなたの郵便物は税関にあるんだが、いつ届くかは・・・」

毎日電話した。完全にクレーマー。

オペレーターには、逆ギレして向こうから一方的に切るヤツや

「混み合っております」のアナウンス後、やっと繋がったと思いきや

やはり切るヤツ。ろくなヤツらがいなかった。

イヤガラセで、ワールドカップのイタリアの試合中に電話したら

案の定、ひたすら話し中だった。

きっと受話器を上げっぱなしにしているとか細工していたんだろう。

まぁ、だからこそ優勝できたんだろうね(笑)


で、それらを見守っていた僕の仕事仲間が決起する。

「もうオレは我慢できない!今からオレのローマにいる友達に電話する!!」

たしかに税関はローマにあるが、どんなんだよ(笑)

日本で言ったら、税関トラブルのため千葉にいる友人に電話するってことでしょ?

だからって(笑)


ところが、どうかなってしまった。友人に事情を話し、その友人がまた他の友人へ。

そしてその友人のガールフレンドが税関で働いていた。

しかも僕の郵便物に近い部署らしい。

そして仕事仲間は、さっそくその女の子に電話。

そして2日後・・・着いちゃった。すげぇな、この国は(笑)


ところがウキウキでカメラの箱を手にすると・・・

カメラと共に届いた1通の書類、税関手数料。

「750ユーロ」と書いてある。

う~ん、拒否しちゃおうかな☆日本に持って帰ってくれ、有り得ん。


だがこの翌日、このカメラを手にしていたら

非常に良い写真が撮れそうな仕事が1本入っている。

郵便物を持って来てくれたオッチャンに

「1時間、時間ください!1時間後までに、払うかどうするか決めます」

オッチャンもあまりの金額に「じゃ1時間後、もう1回ここに来てやるからな」

と了承してくれた。


悩む、悩む。

日本で32万円で買ってもらった。

それに750ユーロ(約10万円ちょっと)を足して・・・とか

拒否したとして日本に着くのはいつだ?

そのとき誰か友人は来るだろうか?

飛行機で持って来てもらえば、税関手数料は無料・・・

あぁ答えがみつからない・・・


そんなときに、僕の写真の師匠の顔が浮かぶ・・・

「オレがいつもカードを持ち歩いているのは、仕事中にカメラが壊れたときに

都内だったら適当なカメラ屋に入れば、だいたいそこそこのカメラは置いてある。

それをカードで買って代用するっていう保険のためでもあるんだよ」

つまり1つの仕事を完遂せせるために、そこそこ(って言ったって10万円はいく)

のカメラを買う。そこそこは、やっぱりそこそこでしかないので

おそらくその仕事のみで用済みになるだろう。

そのことがわかっていてもやっぱり買う。1度の仕事を完璧にこなす。

それが日本のカメラマン。


僕も端くれ・・・・・・

出そう!750ユーロ!!出そう、自分の誇りのために!!

実際は、腰砕け半泣きになりながら50ユーロ札を「1枚、2枚・・・」

と力なく数え、数え終えたら

もう一度最初から「1枚、2枚・・・」往生際が悪い。

ここの物価感覚で言ったら1ヶ月生きられるよ。しかも超豪遊だよ・・・


料金を払い、そしてその後

穴が開くほどイタリア郵便局のホームページを見てわかったことだが

ただいま、絶賛税関チェック強化中である。

僕は1度税関に「今あなたたちの手元にある僕のカメラは

5年前に購入したもので(ウソ)評価価値のないものです」

と書いたファックスを5月に送っている。あっさりスルー。

そして箱の中身が、まだイタリアではとても入手困難な新発売のカメラ

だいたい2800ユーロで手に入るということまでやっていたのだろう。

「750ユーロ払え」と書かれた書類には

「当税関の算定評価価格、3000ユーロ」

と書かれていた。うーん、ビンゴ・・・


でも、半年後にはまた税関は仕事をしなくなって

無料でスルーできそうな予感がする。

そしてそれがかなり現実的に有り得そうで・・・なんかくやしい。


結局僕はこの念願のカメラを手に入れるために2ヶ月以上待ち

その間、仕事仲間たちから仕事のたんびにカメラを借りまくり

そしてシチリアで購入できるそのカメラの金額より

200ユーロ余計に払って手に入れ

そしてこれを手にした翌々日、彼女がシチリアにやってきた。


最初からわかってたら、彼女に頼んでたわ!!

無駄に750ユーロを、全く仕事をしない税関にプレゼント。

ちゃんと5日後に届いてたんなら、痛いけどしょうがないから払うよ。

でも散々待たされて、その2日後に日本からの使者が・・・


良いカメラだと今実感しているだけに

2ヶ月間手に出来なかったのは本当に痛かった。

ただいま僕は、手元から離れていったユーロたちの回収作業にいそしんでいる。

もう、ここで稼いだお金はここでは使わん!

日本まで持ってって、じゃんじゃん円に洗浄してやりますよ☆

2006年8 月10日 (木) カテゴリー: イタリア・シチリア | 個別ページ | コメント (7) | トラックバック (0)

ヨーロッパ式のバカンスに浸りかけてみた

Terra7


「4日しか休まないのか?おい、それは休みって言わないぞ」

こっちの人は、8月にごっそり休む。2週間から1ヶ月くらい。

「オレはこのバカンスのために働いている」という人もいる。

日本で言うところのNTTみたいな会社も休む。

そして1週間、ありとあらゆるサービスが止まる。どんな国だ?(笑)


そんでヨーロッパ(主にドイツとフランス)のお金持ちたちは

好んでシチリアの小島あたりで、2週間何もせずに家族と過ごす。

きっとシチリアを離れたら

ここの小島に行くこともそう機会は無いと思ったので

3泊4日で行ってみた。

シチリア島の周りには20ほどの小島があるんじゃないだろうか?

もっとあるかもしれないが、だいたいの島は仕事で行きつくしているので

今回はまだ1度も行ったことのない島を目指してみた。

僕の住んでいるパレルモから電車で2時間ちょっと。

それから船に3時間30分乗ると到着できる。

Stro1_1


ストロンボリ。

小さな島全体が、ほぼ1つの山になっていて

その山が活火山として、ときおり噴火する。1日に20回から30回くらいか?

夜になると「ボーンッ!」という音とともに

山頂から溶岩が飛び出るのが見える。小さな花火のようだ。

砂浜は黒い。火山灰の影響だろう、砂と言うよりは砂鉄という面持ち。

その砂が海の中まで流れ込んでいるので

水が澄んでキレイな分、黒い海という感じがする。

どこまでも青く透き通ったイメージのシチリアの海ではめずらしい。

2日いた。普段あまりやらない『日焼け』にもチャレンジ。

4時間いたのだが、赤く腫れ上がってしまい、肌にはまだら模様。

自分の肌の弱さっぷりを実感させられる。


テレビも点けない、パソコンも開かない、車が走る音もしない。

朝から「今日の夕飯は何食べようかな」という気持ちしか涌いてこない。

それ以外の感情が全く起こらない。波の音だけを聴きながら

ただただ広がる景色を眺める。

何もない事が贅沢に感じられる、どこまでもゆっくりと流れる時間。


そして島を替える。

2つ目はブルカーノ。

ここは何度も訪れている。かなり好きな島だ。

Vul2_1


ここも大きな山が1つ、そこからはもくもくと煙が出ている

ストロンボリのような噴火は見られない。

そしてここには泥温泉がある。

水温は35度前後か?

東京を離れ湯船につかる生活から遠ざかっている僕には適温だ。

「何ヶ月ぶりの入浴だ?」なんて指折り数えてみる。

何分か泥温泉につかり、そのあと

すぐ近くの海に行って、身体の泥を落とす。

すると、自分の肌がすべすべつるつるになっていることにびっくりする。

4か月分の毛穴の汚れがとれたか(笑)

Vul3_1


春にシチリアに来てから、野球や仕事なんかを

かなり根をつめてやってきた気がする。

その疲れがこの旅で一気に抜けた。

「バカンスってこういうことなのか」と実感。

しかし3泊4日くらいが僕にはちょうどいい。

2週間はさすがに・・・社会復帰できなくなるって(笑)

2006年8 月 9日 (水) カテゴリー: イタリア・シチリア | 個別ページ | コメント (9) | トラックバック (1)

ケミカル泥酔の方法、教えます☆

1


今日は日曜日。

朝から家でパソコンを開いて過ごしている。


プロボクサーの友人の日本タイトル挑戦、失敗の残念なニュースを読んだり

HERO’Sで桜庭が微妙な勝ち方をしたらしいとか

知らぬ間に『オレだけの日ハム』が3位上昇

しかも首位までもう少し、というのを知ったり

とどめはスカイプで日本に5時間電話していたりと

ネット三昧な一日だ☆


昼過ぎに調子に乗って、ビールを開けてみた。

・・・やっぱりまだ昼ビールは慣れない。

そしてなんだか知らないが「何かをやらなきゃいけない感」

が出てしまう・・・う~ん、何しようか?


素振りをしてみた。

2,3分ほどバットを振っていただろうか?

頭がぐるぐる回って気持ち悪くなった。先ほどのビールが効いている。


僕はビールではまず酔わない。

しかも味気ない、というか不味さ満点のイタリアビールでは

アルコール度数とか良くわからないが、普段飲み続けていても酔える気すらしない。

そんな僕がわずか1缶のビールにヤられている。


ブログに報告しようとカメラを手にするが

ファインダーをのぞいているだけでも気持ち悪い。

投げやりにシャッターを押す。もうそれで精一杯。

現在午後4時、先ほどの感情とは全く逆の

「もう何もやりたくない感」に征服されている。


すごい地球が回っている!!

お試しを☆


どうでもいいが、あぶさんってすごいんだな(笑)

2006年8 月 7日 (月) カテゴリー: イタリア・シチリア | 個別ページ | コメント (3) | トラックバック (0)

皆、いちるの望みを託してリングに上がる

Ang1bis


今なら、かませ犬の心境が良くわかる。

マニアックな例えであれだが

今の僕には、ミルコが待ち構えるリングに上がらなくてはならなかった

ヤマヨシやドスJrの気持ちが痛いほどわかる(笑)

そんな気持ちで寿司パーティーをこなした、散々な日々。


2回目は4人と少なかった。ピザを用意してもらった。

そのついでに寿司を振舞った。1人3貫ずつ。

3回目は6人。やはり1人3貫ずつ。

シチリア料理を食べながら、寿司をつまんでもらった。

マグロには炙りを入れ、レモンをふんだんにかけ

醤油は使わなかった。

酢飯も酢がほとんど利いていないものにした。

こんな感じでちょうど良かった。

3貫食べ切った人はほとんどいなかった。


毒を吐かせてもらえば

ヤツらは最初から寿司を堪能する気なんて、これっぽっちも無い。

ただ友人なんかに「オレ寿司食べたんだぜぇ」と自慢したいだけだ。

数年前に起こったヨーロッパの日本モノブーム。

遅ればせながら、シチリアにも今さら到着の雰囲気で

そういうブームの先端気分を味わいたいだけなのが

こちらに伝わってくる。美味しい寿司なんて必要ない。

寿司という実物と、具合を自分の眼で見てみたいだけなのだ。


僕が調理中にマグロの味見をしようと、生マグロを口にした途端

それを見ていた連中は、僕の顔から一瞬目を逸らした。

そしていざ自分が食べなくてはならなくなった刹那

眼をつむりながら、寿司を一気に飲み込んだ。


僕が美味しいと言って率先して食べて見せても

彼らの手は全く寿司に伸びなかった。

そのクセにきっと次の日、同僚なんかに

「オレ、昨日寿司食べてさぁ☆」と自慢するんだろう。


彼らの心境を、僕らの文化に例えるなら

猫をさばいて刺身で食べているとか、そんな心境じゃないのか?

「そんなもん、食えるかよ。でも、今テレビとかで流行ってるしな・・・」

ある意味、かなりのチャレンジャーだと思うが。

ってどんな寿司論だよと思うが、ハズレていないと思う。

あぁ、僕は犠牲者だよ。でもリングがあるから上がりますよ。

そしてハイキック1発でキレイに倒れて見せますよ。


そんな、ニヒリスト全開で臨んだ4回目

「オレはバレリアだ☆」宅だった。

いつも以上に、僕を迎えるバレリアのテンションが高い。

余計僕は気が重い。


無駄に、本当に無駄に寿司を作りまくったので要領が良くなった。

準備のために2時間ほど前に来ていたのだが

1時間も過ぎたら、ほとんど準備が終わっていた。

バレリアが「ねぇ、プレイステーションやる??」

と言って、テレビにプレイステーションをつなぐ。

日本でしか発売されていないONE PIECEのソフトをセットして

ばんばん先に進んでいる。当然ゲーム画面は日本語。相変わらずすごい。

それを背後から見つめる日本人の僕。

ときおりゲームのキャラクターが「ふぅ、口ほどにもないぜ☆」

なんて日本語で言っている。そんな言葉も耳に痛い。

「あぁこれから僕はこの子たちに猫の刺身を提供するのか・・・

 猫刺しを食べても、日本のこと嫌いにならないでね・・・」

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そんな気持ちでテレビ画面を見つめていると、バレリアが

「あ、もし良かったら、今おにぎりって作れる???」

突然のオーダーだったが、お米は余っている。海苔もある。

台所に戻りお米を炊く。


以前から彼女に、おにぎりを作って欲しいと言われていた。

ドラゴンボールだとかアラレちゃんなんかで常に出てくる

大きな白い球。それを主人公たちは美味しそうにほおばって食べている。

自分もいつか食べてみたいと言っていた。


ほかほかのご飯に塩を振って、握って見せる。

それを彼女は見よう見まねで作る。

タネは手巻き用に用意していたツナマヨ。なんかツナマヨ様々だな(笑)


三角形を作って、海苔を貼ってあげた瞬間、彼女は絶叫した。

「ママ、パパ、おにぎりーー!!!!!!!!!」

両親がいるはなれまで、それを見せに激走。

両親の見つめる前で

「もったいなくて食べられない・・・」もはや涙目、いや泣いてる。

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「まだ沢山作れるから大丈夫だよ」

僕がなだめて、彼女が口にした瞬間

「美味しいー!!!!!」

両親も食らい付く。

「ヤギ、これ本当においしいぞ!

この海苔って言うのは何??すごくいい香り」

いままで散々不評を買っていた海苔が、初めて認められた。


急遽おにぎりをたくさん作り、それをみんなが美味しい美味しいと言って食べる。

「そりゃ、炊きたての日本米にシチリアの塩をかけて食べたら美味いよ」

っていう日本人感覚がこの家族には通用している。

ん?今までとなんか違うぞ??


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(この子、バレリアじゃないよ。 まぁ、倖田來未熱唱中なんだが・笑)


そしてハイテンションのまま寿司パーティー開始。

9人がむしゃむしゃと食べ始める。

3合用意してあった酢飯があっという間になくなる。

手巻き、握り、ネタは何種類あったのだろうか?

握りに関してはバレリアたっての希望で、ワサビ入りもいくつか作った。

彼女たちは「ヤギのほうがキレイに握れるからアナタが握ってよ」

と言って、僕の握った寿司を食べたがった。

そして彼女がこの日のために両親から買ってもらった

寿司用のお皿の上に載せる。どっから見つけた、こんな皿??(笑)

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そして僕も味見。美味い。シチリアの空の下、シチリアの海沿いで

シチリア産・激美味マグロを寿司にして食べている。感動☆


みんながありとあらゆるものを食べ尽くし

僕のためにと、焼きそばを作ってくれた子がいてAng4_2

その焼きそばもあっさりと消えてしまった。

まぁ味は焼きそばというか・・・なんでもいいや。

上機嫌の僕は、そばの食べ方をしっかりと音を食べて実践して

みんなから大歓声を浴びる。


あぁやっぱ救世主というか、女神はバレリアだったか☆

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(この子がバレリア)

2006年8 月 4日 (金) カテゴリー: イタリア・シチリア | 個別ページ | コメント (15) | トラックバック (0)

完全敗北の夜

「寿司を作る」

そんな重荷を着せられたここ数ヶ月

「僕の彼女がもうすぐしたら日本から来るから、それまで待って!」

と、往生際悪く逃げ回っていたのだけれど

彼女がシチリア到着、そして仕事の関係で予定より1週間も早く

この地を離れて行ってしまった・・・予定外。


そして彼女のいなくなった1週間で、僕は寿司パーティーという名の

ドサ周りを4回も余儀なくされた・・・

僕はここに野球をしに来たんじゃなかったけか??


実は以前ブログに書いていただいた皆さんからのアドバイスを

読み上げ、手巻き寿司のテストなんかをしたりしていた。

おかげで、酢飯はだんだん美味しくなった。

手巻きはいける!そして生じゃない魚を手巻きに使う。

だんだんレパートリーも増えてきた。


そしてさらに、こういうときは頼れる友人、料理人登場である。

彼と同居するようになってから、1日おきに昼ご飯を作りあう。

今日が彼なら、明日が僕。決めたわけではないのだけれど

なんとなくそうなった。

そして、僕が作ったパスタを彼の前に差し出す瞬間の緊張感といったら

さながら味見をしてもらう師匠と弟子の関係。

おかげで、パスタ料理のなんたるかがわかったきた今日この頃。

間違いなく、僕の料理師匠。

今この状況で彼ほど僕を救える人間はいない。

師匠から「いいか、シチリア人は生魚食えるんだよ。なんも問題ないって!!」

と勇気づく一言をもらう。

そして彼に傾向と対策を練ってもらい、包丁を研いでもらう。

研ぎ澄まされた包丁の刃先を見たとき、一瞬僕は

「あ、今の僕は何でもできる!」とタカをくくった。


祭り1発目は、野球チームの友人宅。


シーズン前半戦、仕事の関係とは言え

全く試合に顔を出さなかった我がチームの大エースだ。

おかげで前半戦、チームは負けまくり

彼が登場しだした後半戦で、追い上げをみせたものの

時すでに遅しで、今年のチーム低迷、A級戦犯の彼である。


「オレ、寿司食うんだー」と彼が余計な自慢をし回ったせいだろうか

当初の予定8人を大幅に超え、初顔の人も入れて14人になっていた。

「私はミラノで寿司食べたことあるんだ☆」

という女性も中にいた。寿司経験者がいるのは心強い。


料理に取り掛かる。

「用意してもらう魚は300グラムずつで良い」

と言っておいたにも関わらず、なぜか鮭1匹まるまるいたり

まぐろがでろんと5キロもあったり、彼らのテンションの高さが伺える。

というか、あまりに寿司祭りを楽しみにしていてくれたのだろうか

「当日に魚屋から買って来い」と言っておいたにも関わらず

2日前に買って準備してやがった・・・最悪。

Tensi1


まぐろ、5キロのうち寿司として使えそうな部分、300グラムぐらい。

「ちょうどいいか」と思い、ばんばん切り落とす。

意気揚々と「俺が買ってきたんだぜぇ☆」と自慢していた1人の顔色が変わる。

「え?こっちは寿司にしないの??」

「う~ん・・・ちょっと焼いて寿司にするよ」

「え??焼いたら寿司じゃないじゃん!!」

「大丈夫大丈夫、寿司にできるから」

「・・・・・・」

ヤツの気持ちは痛いほどわかる。

シチリア人のほとんどは、刺身のことを寿司だと思っている人ばかりだ。

「生で魚を食べる=寿司」

生で食べるんだから料理する時間なんて必要ないだろ??

と言いたげに「20時に家に来い」と言われ、

「準備が必要だから18時には行きたい」と言った僕の発言を

誰も理解できなかった。


とにかく酢飯を作り、魚を準備し、手巻き寿司の準備を進める。

みんなが「こんなに準備が必要なのかー」と呑気に言い出す。

解かったか、僕が逃げ回っていた理由が。


21時から始める予定が、19時には全員集まってしまった。

手巻き寿司は食べ始めても大丈夫だなと判断し

やり方を説明する。

全員が興味津々で、僕の手元を注目する。

「ヤギ、これが寿司なんだな?これが寿司なんだよな!?」

えーっと、手巻きを寿司は・・・まぁ酢の飯だし・・・

「そうそう!」責任逃れの一言。

そして次々と手巻きをみんなが巻き始める

そして口に・・・

Tensi2


我がチームの大エースがトイレに走って行った・・・やりやがった・・・

そして1分後、僕のところにきて

「・・・いや、ヤギ・・・寿司は美味しかったんだけど

作った手巻き寿司のサイズがちょっと大きすぎて・・・」

その光景を見ていた数人が、連鎖反応でトイレやゴミ箱に行って

手巻き寿司をもどす。

「いや~やっぱ生魚は・・・このツナいってみよう!」

と再チャレンジする。ツナマヨネーズ好評。

というか、ツナマヨしか食べない・・・無残に散ったサーモン1匹・・・


気を取り直してメインイベント。

まぐろの寿司を握り、何貫かお皿の上に並べる。

普通のまぐろ寿司、づけ、塩を軽く振ったもの、

オリーブオイルと塩で漬けたもの・・・誰一人として手をつけない。


そして「ミラノで寿司を食べた」という女性が僕にとどめを刺した。

「手で握るのね・・・」

だから何度も言ってるだろう!

僕がまず手で握ってみせるからそれが嫌だったら

自分で握って食べてって、握り方教えるって何回言ったんだよ・・・

のりが食べられない、生魚がダメまでは許そう

「酢飯がなんとなく・・・」う~ん、成す術なし!!


結局、近所に売っていた出来合いのチキンやら

シチリア料理やらをみんなでほおばった。

「あぁ・・・オレは良くやった!自分で食べても美味かった!!」

そう言い聞かせるが、なんだこの敗北感は??

やる気なくチキンをほおばる、味がしない・・・

というかこの油だらけでしょっぱいチキンやらポテトフライやらが憎い。


すると突然

「ヤギ!これすごい美味しい!!もっと作って!!!」

と、誰もいないなくなったはずの寿司コーナーから声が飛ぶ。

そこには1人のチビッコが!!!!

野球どころか、今回の寿司祭りのA級戦犯野郎の娘である。

づけをばくばく食べている。最初は僕を同情して言ったのだろうと思った。

しかし彼女の食べっぷりはハンパじゃない、ホンキで欲している!!!

キミは天使だ☆

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2006年8 月 3日 (木) カテゴリー: イタリア・シチリア | 個別ページ | コメント (4) | トラックバック (0)

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