野球教室3回目にして革命が起きた。
年齢対象は12歳から15歳。
初回参加者11人で始まったこの教室が
人気があったようで、今日の3回目開始時点で16人にまで増えた。
監督と2班に分けて8人ずつを担当する。
90分間の野球教室なのだが、みんな集中力がない。
だいたい30分もすると、12歳の子達は座り込んだり
「水を飲みに行く」と言ったきりなかなか帰って来なかったり。
みんなバッティングは好きだけれど、守備の球拾いが嫌いで
僕や監督の見えないところで休んだりする。
15歳ともなると、そこらへんは我慢して
僕らの言うことを聞いてくれるのだけれど
やはり1時間もすると、疲れて野球そっちのけで世間話をしていたりする。
そこを「おぉ!すごい!!もう1回打って!!」
「今のホームランだよ!キミはすごい野球選手だ!!」
なんて言って盛り上げる。
言われた本人は一瞬やる気を見せるのだけれど
それ以外のメンバーは、やはりダラダラしてどうにもならない。
僕からしたら、8人でも多い・・・
そんなよどんだ空気を一瞬にして吹き飛ばす存在が現れた。
女の子である☆
12歳の子で、両親と一緒にこの教室に来た。
ダラダラとしていたメンバーたちが、ほわんとした顔でその子を見つめる。
「野球をやってみたいけど全く解からないの・・・」
「全然問題ないよ。ここにいる子たちもみんなキミと一緒だよ。」
女の子は安心して、練習に参加する。
まずは球拾い。
グローブのはめ方を教えようとすると
近くのいた男の子が、さっとその子に近づいて
丁寧に指の場所を教えている。
今日、僕に指の入れ方の間違いを指摘された子だ(笑)
「よりによってオマエかよ!」と思うも、言わないでおく。
そしてバッティング。
12歳とは言っても15歳の男の子たちと同じくらいの体格で
しっかりとバットを振れる。
僕が近くから軽くトスをしてあげる。何度も空振り。
さすがに初めてでは打てない。
ここで、さっきまでなら「おいおい、前に打てよー」
などと、球拾いのメンバーから声が上がるのだが
この女の子に対しては
みんな「おしい!もう少し!!」「がんばれ!!」などと声援を送っている。
そして何十球目かにしてようやくバットに球が当たり
ころころと球が内野に転がった瞬間、歓声があがった。
気づいたら、さっきまで「疲れた」だの
「手首が痛いから日陰で休んでもいい?」
なんて言っていた連中が、率先して球拾いを行い
自分のバッティングのときにはいつも以上に肩に力が入っている
中には、女の子にボールの握り方なんかを偉そうに教えているヤツもいる。
引き締まった心地良い空気の中、あっという間に教室終了。
そのあと「ねぇヤギ、あの高いフライやってよ!捕るから」
と、野球経験3回目にして特守を申し出るツワモノまで登場。
オマエら、りっぱなイタリア男子だよ☆