イタリアの子供たちは6月の頭から夏休みに入っている。
そしてパレルモでは午後から地域の子供たちを集めて
週に何度か催し物を行う。
ダンスだったりキャンプファイヤーだったり、そして希望者には
バレーボールやサッカー、バスケの教室もあったりする。その中に野球もある。
イタリアでは野球が「インテリのスポーツ」という位置づけがある気がする。
かなり昔の日本がそうだったような、アメリカに対する憧れというか
「英語をしゃべる」「アメリカの大学に通う」「アメリカに住む」
そんなことに比重を置いている人たちがいる。
だいたいその感覚を持っているのが、こっちで言うインテリ層にあたる人たちで
この野球教室にはそういった父兄が子供を連れてきている場合が多い。
野球教室が行われる運動場に行くと、子供や父兄が
開口一番「アナタはアメリカ人?」と聞いてくる(笑)
「日本人ですよ。野球が世界一強い国は日本なんです」
と鼻高々に教える。ところが反応はいまいち。
「でもアナタ、野球はアメリカで覚えたんでしょ??」
「いいえ、日本で覚えました」
「・・・・・・」
なんか雲行きが怪しい。
「それでもアナタは英語しゃべれるんでしょ?」
「はい」ホントかよ。
すると父兄は大満足。子供、超緊張しながら「ハ、ハロー・・・」
おい、英会話教室にでも行け!!(笑)
この教室に僕がいる理由も似たようなことからだ。
去年の教室で僕とアメリカ人選手が監督をアシスタントしに来たときに
彼と僕は英語で会話をしていた。
そしてそれを見ていた主催者のお気に入りになった。
今年はそのアメリカ人選手がいないので「もう1人の日本人でもいいや」
という感じだったのだろうけれど
「今年はローテーションではなく、彼のみで」というオファーだった。
監督と僕で野球教室の先生をやることになった。全10回のプログラム制だ。
野球教室開始。
まずキャッチボールのやり方から教えるのだが
そこにいくまでに一苦労。
「なんでグローブをしなきゃいけないの?」
「なんで投げるときは左足が前なの?」
「なんでノーバウンドで投げなきゃいけないの?」
うー・・・質問が斬新すぎやしないか??。
ここに連れて来る父兄ですら、野球がどんなスポーツかを知らない。
子供なんかは野球がグローブやバットを使うことすら知らない。
とにかく僕が実演する。
キャッチボールを見て、いちいち歓声があがる。
まるで曲芸を見ているかのような視線を感じる。
そしてバッティング。
打ち方をゆっくりゆっくりとスローモーションで教えていると
頭からつま先まで「私はインテリです」
といった雰囲気を醸し出している父兄が眼鏡に手をかけて、自慢げに
「ホームランは1点なんだよ」と誰に教えるでもなく声を出した。
子供たちが反応する。「ホームランってなんだ?」「すごいの?ホームラン」
そして「ねぇ、ホームラン打てる??」と僕に聞く。余計なことを・・・
監督が調子にのる「おう、コイツは日本人だからホームラン打てるぞ」
と子供たちに言ったあと、僕に「用意しろ!」とバットを渡し
マウンドにボールを持って走る。
監督はできるだけゆっくりとど真ん中にボールを投げる。
僕は「頼む、飛べ!」と念じながらボールをひっぱたく。
50メートルほど先に大きな木が立っているのだが、そこを飛び越えた。
「おぉ~!!!」と歓声のあと、拍手が起こる。
距離的にはただのレフトフライなんだけど
まぁ誰も解かんないしいいや(笑)
そして監督の命令でライト、レフトと球を打ち分ける。これは得意。
この曲芸に子供たちはきょとんとしている。心をつかんだ。
そのあとノックやバッティングをやって、今回の野球教室は終了。
僕は子供のときに、自分の打った球が驚くほど遠くに飛ぶのがうれしくて
毎日バカみたいに日が暮れるまで野球をやり続けた。
彼らにはまだ遠くにとばすという技術はない。
止まったボールすら、まともに前に打てない。
そんな彼らに野球が楽しいものだと教えるにはどうしたら良いのだろう?
今日彼らは人生初、グローブに手を通した。うれしそうだった。
打って守って走って・・・
この先にはもっとうれしいことが待っていると教えなくてはならない。
そしてベネズエラ出身の監督は毎年このような教室を開き
チーム・パレルモの選手を作ってきた。
「この教室で野球に興味を持って
うちのチームの練習に1人でも来ればラッキーだ」と言っていた。
これを10年やって10人集まるかどうかと言うことか・・・
でもやらないことには何も始まらない。
監督のような、イタリア野球を愛する人たちが
気の遠くなるような宣伝活動をして、イタリアに野球の土台を必死に築いている。
私は今でも不思議ですよ。フライ取れるのとか。
私はとりあえず「野球マンガ」の布教から始めてみてはどうかと思いますが。
アストロ球団とかダメですか。
バレリアに頼んでさああ……
投稿情報: ポポ | 2006年6 月24日 (土) 13:55
ルールや目的が複雑で、始めたころ意味が分からないことが多かったなぁ。
野球は難しくて、キックベースとかテニスラケットを使った野球の方が始めたころは楽しかったな。
野球の方がカッコイイけど。
投稿情報: あややや | 2006年6 月24日 (土) 22:26
八木イチロウ!
気の遠くなるようなことでも、やり始めれば何かが残る♪八木ちん自信が野球を楽しんでいるんですもの!その楽しさが伝わるのは時間の問題ね♪
投稿情報: sonoyann | 2006年6 月24日 (土) 23:26
すっすっすごい
伝説の男・やぎとらぞーだね
英雄じゃん!
パレルモの野球少年の星になれ☆
投稿情報: みけった | 2006年6 月26日 (月) 00:21
「なんでグローブをしなきゃいけないの?」
そっからなんだ(笑)。でも、当然だよな。
日本人は生まれたときから、
「普通に」野球が存在してるもんなあ。
分かった!とらぞう帰国したらさ、
JICA入って全世界で野球の伝道に尽力する、
つーのはどーよ?
投稿情報: たかし | 2006年6 月26日 (月) 10:10
野球はインテリのスポーツなのかぁ。
じゃあさぁ、次回教える時はアメリカの野球映画で必ず出てくる噛みタバコを噛みながら登場してほしいなぁ~
そして父兄の足元に「ペッ」と吐き出してもらいたい!
でも、ただ単に「マナーの悪い日本人のとらぞうさん」って思われて終わりかしら???
投稿情報: ちーちゃん | 2006年6 月27日 (火) 16:46
パレルモに行くの楽しみになってきた。
「アメリカ移民です」で掴みは万全な気がする。つうかそのガキどもと英会話して晩ご飯奢って貰おうよ(笑)
ちなみにインド土産としてカレーのスパイス買ってあります。乞うご期待。
投稿情報: しんぐー | 2006年6 月27日 (火) 17:53
>ポポさん
アストロ!ファンタジー過ぎ(笑)
バレリア、あだち充知ってるんですよ!
なんでだよ(笑)
「タッチは野球漫画だよね?」とか聞かれました。あんた凄過ぎだわ。
>あやややさん
テニスラケット良いですね!!
それいいなぁ。めったに空振りしないですもんね!
僕も野球のルール、いまだに謎な事がいくつもあります。
そこらへんがサッカーと違って
ワールドワイドになれないところじゃないでしょうか?
残念だけど。
>sonoyann
うわー、政治家みたいな名前だなぁ・・・
池上本門寺で吐いたゲロの数だけ
僕は野球が好きです(笑)
>みけった
ありがとう!しかしその野球少年が皆無ってところが・・・
投稿情報: やぎ | 2006年6 月28日 (水) 12:26
>たかし
JIKAって!?
アルファベットが3文字以上並ぶと
プロレス団体にしか見えないのは僕だけ?(笑)
イギリスあたりのマニアック団体の匂いがぷんぷんするわ☆
>ちーちゃん
ヤサグレ感を出してね☆
笑った口の中が金歯だらけとか
人殺しの目とか、ケイタイ越しでギャング的会話とか(笑)
ホント「なんかアイツ変だよね」で終わりそう。
>しんぐー
おぉ!インドカレー、よっしゃ!!
ヨーグルト風味とかマメカレーとか
人を寄せ付けないヤツをいってみたい!!
投稿情報: やぎ | 2006年6 月28日 (水) 12:36
JICAとは、国際協力機構。
世界中でボランティアをする団体なのだ。
野球教えたり、日本語教えたり、農業教えたり…。
似合ってるんじゃない。
それで、ムッシュ吉田みたいに、
どっかの国の代表監督になる!みたいな
投稿情報: たかし | 2006年6 月28日 (水) 15:33
バレリアやるぅ!
「アタシ、タッチのかっちゃんの声優さんのマネージャーやってたんだよ」とか言ったら
とらの「倖田來美」にはおよばないだろうけど、プチ感動はあるかしら?
投稿情報: みけった | 2006年6 月28日 (水) 18:40
>たかし
ほうほう。国代表監督はいいなぁ☆
アイスランド代表とかかっこいいよね。
そしたら徹底的に日本の高校野球丸出しの攻撃パターンで
ヨーロッパの頂点に立ってやる☆
>みけった
かっちゃんの声優さんのマネージャー!!
すまん、絶対にわかんない(笑)
アニメ流れて無いからなぁ。
あ、流れててもアフレコはイタリア人か!
声優ってだけで食いつくだろ、ああいう人たちは(笑)
投稿情報: やぎ | 2006年6 月29日 (木) 08:04