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八木虎造〜世界中で野球する男〜

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かえってきた、憂国すぎる男

Img_85494


「ヤギさん、ただいま! でさ、いま暇??」

「おかえり! 暇だけど、どうして?」

「いまさ、日本食レストランに来てるんだけど、凄いんだよ!!

 とにかく今すぐ来てよ!!」

「え?何が凄いのよ??」

「う~ん☆ 来たら分かるから、今すぐに来て! 5分で来てよ!!」


1ヶ月ほど所用でリトアニアを離れていたマムさんは

ここに戻って来た翌日、そう僕に電話をくれた。

彼は、以前にも書いた

日本の、キャバクラと山本譲二と横浜中央市場を激烈に愛する男。

http://yagitorazo.weblogs.jp/blog/2007/06/post_597f.html


しかしリトアニア到着の翌日に、さっそく日本食レストランに行ってんのかよ!

さすがというか・・・


レストランに到着し、2人で顔を見合わた途端

久々の再会にテンションが一気に上がり、握手する手にも力がこもった。

そしてマムさん、すかさず店員にリトアニア語で何やらオーダーする。

「ねぇ、マムさん。何が凄いのよ??」

「うふふ。これから凄いのが出てくるから、ちょっと待ってよ☆」

そう言っているマムさんのほうが、興奮収まらぬ様子だ。

そして店員が持ってきたものは・・・・・・・


アサヒ・スーパードライ!!!

「ね、ほらヤギさん!凄いよ!!!アサヒ・スーパードライだよ!!!!」

たしかに、まぁ・・・

でも正直、驚くほどのことでも・・・

そんな低めのテンションの僕をよそ目に

マムさんは意気揚々とグラスにアサヒビールを注いだ。

そして僕のグラスにもビールを注いで、「グラスを持て」と急かした。

乾杯☆


「おぉ、やっぱ美味いな~」

一口飲んでみたら、僕のテンションは一気に上がった。

久々に“ビールを飲んだ!”と実感した。


リトアニアにも当然ビールはあって

ポーランドロシア方面からも色々なビールがきているのだけれど

それはどれも麦の感じが全然伝わってこないモノばかりで

「いまオレはビールを飲んでいるな!」という感覚が一向にしない。

そんな微妙なモノをずっと飲み続けていたので

日本のビールの美味さに改めて感動した。


そして調子に乗ったマムさんは、ここで夕食も済ませると言い出し

色々な日本料理を頼みはじめた。

そんなに日本食が食いたかったの?www


数分後、まず味噌汁が運ばれてきた。

ところがマムさん、これを見て顔色を一変させた。

店員を店の奥から呼び寄せ(店員はみんなリトアニア人)

烈火のごとくクレームを付け始めた。

テーブルの前に来た店員は、申し訳なさそうな表情を作ってうつむきながら

マムさんに謝りだした。

「ど、どうしたのマムさん!」

「ヤギさん!これ味噌汁じゃないよ!!豚汁だよ!!!」

えっ? そんなんで店員にクレームしてんのかよ!!

たしかにお椀に注がれているのは、豚汁感丸出しではあるけれども・・・

店員、超低身低頭で謝ってるし・・・

「マムさん、豚汁も味噌汁みたいなもんだよ・・・」

「いやヤギさん、それは違うよ!!

もし日本のお店で、味噌汁を頼んで豚汁が出てきたら大変だよ!!」

そ、そうなの???

「いや、ワタシ豚汁は大好きだよ。でもね、今日は味噌汁が食べたかったの!

それにメニューには味噌汁って書いてあったんだから!!

今日は豚汁の気分じゃないのに!」

すげえな、なんか。味噌汁をちゃんと「食べる」って言ってるし。


そしてマムさんは店員に紙と鉛筆を持ってこさせ

味噌汁と豚汁の中に入っている具材の違いを事細かに説明し始めた。

店員は額に汗をびっしょりかきながら、必死にメモをとっている。


でもこれって、明らかに日本人顔の僕がクレームをつけて

マムさんに言わせているような気がしてきて

なんかすごくこのテーブル居心地が悪いんだよなぁ・・・

店員も、マムさんだけに謝るわけでなく

ときたま明らかに僕のほうを見ながら謝っているし・・・う~ん。


そして、一通りマムさんの話を書き終えた店員は

再度僕に申し訳なさそうな顔を向けた後

うつむきながら奥に消えて行った。

一仕事終えたマムさんは、ほっとした表情でおもむろに豚汁を口にした。


「ヤギさん、ヤベーよ、ヤベーよ!!」

美味いってことか?マムさんの顔が弛緩しきってトロンとしている。

それを見ていたら僕も豚汁が欲しくなったので

先ほどの店員に豚汁をオーダーすると

さっきのクレーム効果か、びっくりするほど速くテーブルに豚汁が到着した。


うん、これは美味い!! 本物だ。

笑顔のまま2人で豚汁を食べ尽くす。

「マムさん、豚汁美味しかったねぇ!!」

「そうだね。でも今日は味噌汁が食べたかったんだよ・・・」

まだ言うか! そしてマムさん

「昔、他の街の日本食レストランで食べたとき
 
料理の中に虫が入ってたことがあったんだよ。

それをね、お店の人に言ったら

お店の人はその虫を取っただけで、料理はそのままにしたの。

ヤギさん、日本ではこんなこと有り得ないでしょ?

日本だったら絶対に料理を全部新しいものに交換して持ってくるはずだよ。

外国で日本食レストランをやっていて、味は日本と違うのはしょうがないけど

そういうところはしっかりとしなきゃダメなんだよ!!」

はい、もういちいち全部、アナタの言う通りでございます・・・・・・


そしてとどめにマムさん

「ワタシ今度、車買い替えるよ。今度は国産車買いたいんだよなぁ

 やっぱトヨタかなぁ~」

トヨタを“国産車”って!!

2007年9 月 7日 (金) カテゴリー: リトアニア生活 | 個別ページ | コメント (9) | トラックバック (1)

冷や水を浴びせやがって!

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くっそ、またはじまったか・・・


部屋のお湯が出ない。

リトアニアのアパートでは、季節の変わり目にお湯が出なくなる期間がある。

それは棟によってまちまちで「オレの所は先週」「オレは来週」

なんて感じなのだが、それは年に2度行われ

『そろそろコートを脱いで半袖を用意しようかな?』

なんていう5月くらいに1度と

『もうそろそろコートが必要だな』

なんて感じる9月くらいにもう1度、お湯が出なくなる。


どうやら夏用と冬用の水道管があるようで

その切り替え時にお湯が出なくなるのだが

なぜかその作業が1週間ほど続き

その間、お湯の蛇口をひねっても

茶色く濁りきった水が出てくるだけだ。

初めて蛇口から流れ出る茶色い水を見たときは、かなり驚いた。

慌てて知り合いたちに電話したのだが、みんな

「あぁ、この時期だからなぁ。

1週間も我慢すれば直るよ、気にするな」

なんてそっけない。しかし1週間お湯の出ない生活って・・・


月曜日、リトアニア生活2度目の“お湯が出ない1週間生活”に突入した。

しかしなんで今週?

まだ暖かかった先週のうちに、なんでやっておいてくれないんだろう?

ここ数日間で一気に冷え込み、いま僕はコートを着て外に出ている。

そんな寒い中、どうやってシャワーを浴びろと・・・


仕方ないので、コンロでお湯を沸かして

バケツに何リットルもそれを溜める。

リトアニアは電気コンロが主流で

しかも僕の家にあるおんぼろの電気コンロでは

なかなかお湯が沸かない。

1時間ほどかけてやっとバケツにお湯を溜める。

そしてシャワールームにそれを持って行って

ちまちまとそのお湯を身体にかける。


こんなシャワー生活をあと数日間も・・・めんどくせ~。

しかしこのちまちまシャワー

リトアニア家庭では、あたりまえのことなんだろうか??


それからこの時期の水、なんともいえない鉄の香りがするんだよなぁ。

洗濯した洋服も、その香りがうっすら付いてるし。

僕の”リトアニアと聞いてイメージする香り”って

もうこれ以外にみつからないんですけど・・・

2007年9 月 5日 (水) カテゴリー: リトアニア生活 | 個別ページ | コメント (4) | トラックバック (0)

食探訪☆リトアニア編

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街から街へ移動。

リトアニアでは、東西南北にどの方向にも適当に車をぶっ飛ばして

1時間ほどすると、違う街に移動できる。

だいたい街と街の間隔は100kmくらいか。


そして街と街とを移動する間、車から観ることのできる景色はひたすら森だ。

とにかく木、木、木。ただただ木。

そんな木々が続くなか、2,3ヶ所不自然に横にのびた小さな道がある。

舗装されていない土のままの道で、その道の先を見てみても

やはり木々が視界をさえぎっているので、何があるのかわからない。

例え行ったところで、ただただ森の中に紛れ込むだけで

楽しそうな予感は何も感じない。


ところが実際に先を進んでみると、必ずといっていいほど泉がある。

それは、「映画のセットじゃないの?」と

誰かに聞いてみたくなってしまうほどに美しくてビックリする。

ピタッと止まって澄み切った水は、とにかく透明で

中にいる小魚がちょろちょろと動くのが分かる。

きっといきなり妖精とか、そんなわけの分からない存在をここで見たとしても

僕は驚かないだろう。それくらいに異世界の空気を放っている。


そしてそんな泉がリトアニアの各地に点在しているのだが

その各地の泉沿いに、必ず1つはレストランがある。

だいたいどれも丸太小屋風に作られていて、木々に隠れるようにポツンと、

そして景色を壊すような看板も無ければ

趣味の悪い場違いな塗装もしていない。とにかく目立たない。

商売をする上では少々もったいない気もするが

考えてみたら、そもそもこの泉まで脚を運べる時点で

相当の土地勘が無いとたどり着けない。

そんな人たちは、当然このレストランの存在だってわかっているはずだ。

宣伝する必要はない。


いつも遠征後の帰り道、みんなとこういうレストランに寄る。

なので、僕は春からほぼ毎週

こう言ったレストランに通い続けていることになる。

毎週来ていると、このあり得ないシュチエーションに慣れきってしまって

感動が薄れるから不思議だ。

世界中どこに行ったって、お金をどれだけつぎ込んだって

そうそうこんな場所で食事ができるものではないのは

わかっているはずなのに。


だいたいリトアニアのこういう所で摂る食事は決まっている。

白米、トマト、そして肉。この3点を1つの皿にまとめる。

1プレート、日本のカフェ飯みたいな感じか。

肉にはバリエーションがあって

豚肉をバーベキューのように串刺しにして、香辛料を振りかけて焼いたもの。

牛肉を薄く延ばして、ステーキしたもの。

鶏肉をミンチにして固めたあと、パン粉で揚げてコロッケにしたものなど

何種類か存在する。


チームメイトとそんなレストランに訪れ、乾杯。

試合直後の移動なので、テンションが高い。

勝っても負けても試合の話で盛り上がる。

あまりネガティブな内容の会話はしない。みんな大人だ。

そして水分補給として飲んでいるビールが、どんどんテーブルから消えていく。

普段冷静でおとなしい彼らが解き離れた瞬間で、テーブル全体が

「がっはっは!!」という笑いで包まれる。

野球、泉、酒、そして仲間

これをシアワセと言わずして、僕は何のためにリトアニアに来たと言えよう。

遠く日出ずる国で、ドロドロの灼熱にまみれているみなさん

僕はいまシアワセです☆☆☆


しかしそんな僕の至福のひとときを一気にかき消す瞬間が訪れる・・・

ケチャップ。

あのな・・・味覚って言葉を知っているか?

しょっぱいって言うリトアニア語には存在しないのか??


料理がテーブルに届くなり

「ごめんヤギ。そこのケチャップとって」

と端々の選手から声がかかる。

それを渡すなり、彼らはどばどばと料理にかける。

その量たるや・・・

10人ほどいるテーブルに新品のケチャップが2本あったとして、

それは一気に消える。いや、たぶん2本では足らないだろう。


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僕の目の前にも料理が届き、ナイフとフォークを手に取り

『さあ食べようか』とお皿を見つめる。

その瞬間、隣に座っているチームメイトがケチャップを持って

僕の皿にかけようとする。

かなりタイミング的にはグッドで

本当にリトアニアは気が利く人たちばかりだなとつくづく思うが

この状況では迷惑でしかない。

「い、いや・・・平気、平気。いらないから・・・」

丁重に辞退する。彼らの表情が曇る。

曇られても、やはりここは引くわけにはいかない。

「ヤギはケチャップが嫌いなのか?」

「そうだね。あまり好きじゃないかな・・・」

そういうことにしておく。

いや、彼らから見たら相当ケチャップ嫌いだろうな。


皿の上にある肉の横には、必ず8角切りなんかのトマトサラダが

最初から添えられている。それにも彼らはかける。

彼らはトマトとケチャップが同じ所から来ていることを知らないのか??


さらに衝撃的なのは、肉を食べる前にスープが運ばれてくるのだが

それにも彼らはドバッといく。

野菜スープなんかの表面が、一気に真っ赤に染まる。

う~ん、そんなかけなくったって最初から味ついてますけど・・・

言っても無駄か。

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本当にここの人々は何にでもケチャップや、そういう類いのソースをかける。

例えばピザをオーダーすると、店員は当たり前のように

カクテルソースのようなものをテーブルに持ってくる。

そしてそれを、熱々のピザの上にドバッとかけて食べる。

どんな種類のピザを食べたところで、カクテルソースの味しかしない。

ジャンクと呼ぶにはあまりにもジャンク。ある意味、すげー発見。

ピザの作り方が、どの店もイタリアのピザ屋のレベルに近いほど美味いだけに

僕の中で凄みが増す。


そんなある日、立ち寄った小さなレストランで

テーブルにあったケチャップを使い切った彼らは

お店の店員に新しいケチャップを催促したのだが

なんと在庫切れで、もうこの店にケチャップは無いと言われてしまった。

そして彼らが取った行動は・・・

テーブルの上になぜか置かれてあった“しょう油”を代わりにドバッと!

本場の僕ですら、そんな量はかけたことないと言うくらいにドバッと!!

そして何事もなかったかのように

彼らはしょう油がたっぷりかかった肉を口に運ぶ。

しょう油問題ないのか?

イタリア人なんかは、あの豆の香りがダメとか言って

みんな敬遠していたのに!!

しかもあの量、肉の味がどうとかって言うより

もはやしょう油を食べているようなもんだろ。やっぱすげーな。


ありえない絶景に囲まれた中、気のおけない仲間たちとの食事は

意外と胸ヤケが伴うものである☆


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2007年9 月 4日 (火) カテゴリー: リトアニア生活 | 個別ページ | コメント (7) | トラックバック (4)

原色の水色と夏の終わり

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明け方、あまりの寒さに目覚めてしまった。

クローゼットにしまってあった毛布を取り出して、くるまって寝た。


起きてから、ジャケットをはおって街に出た。

待ち行く人の中には、コートを着ている人や

マフラーを巻いて歩いている人がいるのだが

全然違和感がない。まだ8月だったよな??


あぁ、夏が終わってしまった・・・

今年は花火も見ていないし、海にも行っていない。

○○フェスティバルのようなモノにも行けなかった・・・

何より、僕が体感した夏日は

先々週末の土日に試合したときに、からっとした暑さを感じただけで

僕にとってのリトアニアの夏は、結局あの2日間だけだった・・・


あっというまに季節が変わってしまった。

最近では日中に一瞬、日の光が差したかと思うと

数分後には空一面が厚い雨雲に覆われてしまっている。

そしてスコールのような土砂降りがはじまる。

そして数時間後、挨拶程度に太陽が顔を出したと思ったら

また雨雲が登場する。こんなことを繰り返して1日が終わる。

雨が降るたびに温度が少しずつ下がっていくように感じる。

これからどんどん寒くなっていくのか・・・


しかし雲の切れ間に現れた空は本当にキレイだった。

なんというか、絵の具の水色をそのまま塗りたくったような

水色のくせに“原色!!”という感じだった。

こういう色は写真じゃどうやっても出せないんだよなぁ。


雲1つないこの水色の空の下で野球ができたら

さぞかし気持ち良いんだろうけれど・・・

2007年8 月29日 (水) カテゴリー: リトアニア生活 | 個別ページ | コメント (5) | トラックバック (0)

獣の香り☆

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友人の書いた日記に、自分自身の脇が臭いということに気づき悶絶し

結局そのこと自体が夢だったとわかって一安心したという話があって

そんなハートフルなエピソードを読んだ僕は『夢でよかったね☆』などと

メッセージの1つでもその友人に送ろうと思ったのだが

ちょっとこの話題、今の僕には身につまされすぎて笑えない状況なのだ・・・

う~ん、臭うんだよなぁ・・・

ワキガではなく、おっさん独特の香りでもなく

なんともいえない体臭が、僕自身から・・・


海外生活をはじめることになった数年前まで

僕の身体は無味無臭だった気がする。

いや、わからない・・・周囲の友人たちが優しくて

僕にそのことを気づかせまいと・・・う~ん、臭いの話は微妙だな。

とりあえず自分自身の嗅覚を信じるなら、そのころはまだ

体臭持ちではなかった。うん、多分。


自分自身の体臭に気づかされたのは、昨年末のこと

シチリア生活を引き上げた僕は、東京にいったん戻って

キューバに出発するまでの2ヶ月ほどを実家で過ごした。

そしてまず一番初めにしたことが洋服の洗濯だった。

別に理由などはなく、ただなんとなくバッグから洋服を取り出して

洗濯機へ。さすがに1度では洗いきれなかったので

洗濯機の横に洗濯予定の洋服をどっさりと置いておいた。

そしてそれになんとなく近づいた母親が一言

「ん?臭い!あんたの洋服臭いよ!!」


え?そんなはずはない。一応現在洗濯機にかけてはいるが

ここにあるものは全部、シチリアで洗濯したものを

そのままバッグにたたんで持って来たものだ。

臭いはずがない。あるとしたらきっとそれは洗剤の残り香だろう。


「いや、そうじゃなくて・・・あんたの体臭じゃない??

 そうよ、ユニフォームが一番臭いもん!!」

え?何言ってるの、かあちゃん!あなたの息子は無味無臭ですよ・・・

おそるおそるユニフォームを自分の鼻にあて

かいでみても、やっぱり臭いなどない。

そのときは母親の巧妙な嫌がらせだと勝手に理解しておいた。


そしてキューバへの出発日もせまった、ある日

母親が僕のもとへ来るなり

「あんたの洗濯物、最近臭いがしなくなったのよ!

やっぱりあれはきっと体臭ね」

と伝えに来た。わざわざそんなことを言いに・・・

しかし、やっぱ体臭はあったのか??う~ん・・・


そんなこんなで現在、絶賛リトアニア生活中である。

そしてついに2ヶ月ほど前、長期の遠征を終えた僕は

自分の洋服についている、なんとも言えない臭いに気づいた。

それは、遠征先の宿で簡単にかぐことのできる独特の臭い。

しかしそれは、偏見もあるかもしれないが外国の人々が放つ

独特の体臭と同じ香りで、僕自身にわかには信じがたかった。

まさか、そんな・・・オレ、外国人じゃないじゃん・・・


しかし、気にすればするほど、僕の鼻はその香りをとらえる。

どう考えてもその出所は僕のボディーから・・・

香りを例えるなら・・・色気づいた中学生が

体中にこれでもかとなすりつける値段の安い香水を

もっと自然派にしたような・・・

もっと単純に言うなら、やはり遠征先の宿で

1週間ほどをチームメイトと過ごしたときに漂う、なんとも言えない男臭で

それは決して日本男子の部室の香りとか、そんな生易しいもんじゃなく

もっと獣的な、毛むくじゃらな香りで・・・

そんなものが僕の全身に・・・

おぉ~~、どうすりゃいいんだ・・・


そしてふと、僕は1つのことを思い出した。

昨年、イタリア料理人の友人と一緒にルームシェアしていた僕は

その彼から1つのことを聞いていた。

「やっぱ乳製品って、体臭と関係あるらしいよ。だからイタリアの人は・・・」

ホ、ホントか!?もう信憑性とかはどうでも良かった。

僕はその言葉に今更ながらすがり

乳製品を過剰に摂ることをやめた。

考えてみたら、彼の言うことは正しいかもしれない。

今のリトアニア生活は、これまでの僕の食生活の中でも

乳製品を摂りすぎというくらいに摂っている。

野菜、魚等の食材が極端に乏しいリトアニアでは

ことあるごとに肉と乳製品を食べている。

特に遠征などで地方に行ったときの乳製品は欠かせないもので

少し小腹がすくと、パンにチーズを挟んで食べ

起きっ腹には飲むヨーグルトを流し込んだ。

僕はそもそも、それまで乳製品はそんなに摂取していなかったのに

今の生活では、切っても切れないものになっている。

とにかく手軽に摂れてしまうのだ。


そういえば、リトアニアで作られるチーズの中に

例の体臭と全く同じ香りを放つものがある!!!

しかもここで飲む牛乳は日本のものとは味が微妙に違っていて

かつ濃厚でマッタリ感がある。あいつが原因とも言われると

なぜかうなずけてくる・・・


それから数ヶ月経ったいま、僕のボディーから放たれる

ナチュラル香水は、すっかり影をひそめた。

やっぱり乳製品だったか?そういえば最近は短期の遠征ばかりで

食生活も安定している。やはり食べ物は大事だということか。


ま、寝間着や枕カバーを数日間洗わないと漂ってくる匂いがあるのだが

これはただのおっさん臭だから問題無いとして

僕の体臭問題も一段落した気がする


しかし僕はそもそも男の体臭好きだったんだけどな・・・

変わっているかもしれないが、男のワキガの香りが相当好きだ。

そして野球の試合後のロッカールームに漂う

雄としての証しの香りは、愛おしさすら感じていた。

しかしそれを嗅ぐのと、自ら身にまとうのでは

全く事情が違うということがわかった。


そういえば南の島での生活をはじめた友人が

「オレ、体毛が濃くなった」と言っていた。

シチリアで知り合った、日本人の長期生活者たちも

「あ、それわかる!オレも濃くなった」と口を揃えた。

そういえば、外国から日本に渡って生活する人々の体臭って

イタリアやキューバで嗅ぐ香りより弱い気がする。

もっと現地の香りは、ダイレクトかつハードだ☆

日本での生活は香りを消すのか??研究は尽きない。


(写真はリトアニアの女子高生アーティストコンビ。

特に左の子が創る平面制作はシュールを通り越し

気が狂っているとしか思えない作品ばかりで

リトアニア乙女の心の闇を知りました)

2007年8 月28日 (火) カテゴリー: リトアニア生活 | 個別ページ | コメント (12) | トラックバック (2)

トンネルを抜けると、そこはリトアニアだった

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ご無沙汰しておりました、素浪人。

こうやってブログ更新を怠ってきたのも

全てリトアニアの天候のせいでございます。

毎日毎日曇りやがって!

ここの人々がガンガン自殺する理由が少し解かってしまった。

なんて偉そうなこと書いてますが、真相は全く別の・・・

ポーランド旅行を終えて、リトアニアに到着してからというものの

トレーニングやら、用事で外出したとき以外は

自宅でひたすらとあることに・・・


元々根が引きこもり症なので

いったん僕の中でこれが始まってしまうと

狂ったように1つのことしかしなくなる。

昔はよくドラクエを3日間で解いたりしていた。

72時間それ以外のことは一切せず、ただひたすらドラクエ。

そんで1日まるまる寝たあとに、新しいドラクエのソフトを差込み

また新しい2次元旅行に出ていた・・・

面白かったのだろうか?昔の自分よ。


そんな痛い過去があるので

僕の中にはこの手の症状が出始めたときの

ストッパーのようなものが付いている。

まぁ単純にあの暗い過去に戻りたくないという恐怖感から

とてもじゃないが今ドラクエをやるのはまずいと

自粛したりしているだけなのだが。


そんな僕が、久々にハマってしまった・・・

ヨーロッパ大会が終わり、リトアニア野球も一軍連中は

現在バカンス中だったりと、色々と要因はあって

僕の気持ちが緩んでいたこともあるだろうが

久々に、こもったこもったw


ニコニコ動画って知ってる??

あれは禁断だろ!!!なんだよあれw

なんで僕、毎日熱闘甲子園観てんだよ。しかも同日中に。

海外住んでる意味無いじゃん。


ここ数年、僕は海外にいて寂しくなるたびに

日本にいる友人たちに色々音楽やらTV番組なんかを

アレしてもらって、メールにアレしてもらっていた。

ただやはり友人たちに毎回「アレやって!」とも頼めないので

ホームシックにおちいったときに限り

僕は友人たちに頼むことにしていた。


3ヶ月に1度くらいのスパンで訪れるホームシックを

紛らわせる手段は、間違いなく友人たちが送ってくれたソレらだった。

そしてこれらの映像を観ているうちに

なんとか毎回ホームシックを乗り越えてきた。

そうやってここ数年間、僕は生きてきた。


ところがニコニコ動画は、そんな僕の生活を根底から覆した。

(知らない人に書くと、日本人専用のYOUTTUBEみたいなもの)


ここ数日間その他一切のことを捨て

止まることなく映像を観続けた。

たまに滞在ビザのことで呼び出されたりしていたのだが

そんなときの僕はキレ気味だった。ニコニコが観られないから。

そして僕はお笑い・ドラマ・スポーツと

あらゆる動画を観まくった。ここはリトアニアだったよな?


ようやく先週末あたり

ふと「もう他に観たい映像がないな・・・」

という感覚になり、このトンネルから抜け出た気がする。

何日間観続けたのだろう・・・危ねぇ。

考えてみたら今、ここに来て3ヶ月経過くらいなんだよな。

今回のホームシックは相当デカかったってことか。


再来週から本格的に野球が再開する。

超身体がナマっている。またゼロから身体を作り直さないとな・・・

2007年8 月15日 (水) カテゴリー: リトアニア生活 | 個別ページ | コメント (9) | トラックバック (0)

なぜかポーランド

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そんでリトアニアに戻って、しばらく廃人やって

社会復帰できると思ったとたんに、ポーランド行きが決定☆


いまワルシャワにいます。

いいね、ワルシャワ!!

なんか街並みが日本っぽいんだよなぁ。

「絶対に日本の企業がビルとかマンション作ってんだろ!」

と、練り歩きながら思っていた。


街がデカイだけあって、気になるレストランもたくさんある。

さっそく美味しいタイ料理屋とポーランドレストランを開拓した。

う~ん、住みてぇ! やっぱ都会はいいなぁ☆


ただ、ワルシャワ雨降りすぎ!!

リトアニアほどではないにしても

(現在リトアニアはほぼ毎日降っている)

なんかせっかくポーランドにいる間くらいは晴れていて欲しい。

しかも寒いし。リトアニアも寒かったなぁ。


まぁ、僕の住んでいるリトアニア・カウナスからワルシャワまでは

だいたい車で3時間くらいで来れてしまう所なので

そんなに気候も変化しないか。

2007年7 月13日 (金) カテゴリー: リトアニア生活 | 個別ページ | コメント (5) | トラックバック (0)

燃え尽きすぎたオレ。

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えぇ、えぇ
あのヨーロッパ大会以降、燃え尽き症候群入ってました。
廃人のようでしたね・・・
たしかにあの大会で完全燃焼できたことは
僕自身、大満足なんですが
さすがに今まで引っ張られるのはマズいなと。

リトアニアに戻ってからも、試合や仕事などはあったものの
それ以外の時間はひたすら寝ていた気がする・・・
人間ってすげえなぁ、ホント。

最近やっと社会復帰できそうになったので
またブログ書きます。

2007年7 月 8日 (日) カテゴリー: リトアニア生活 | 個別ページ | コメント (8) | トラックバック (0)

横浜中央市場+山本譲二=男のロマン

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「リトアニアで野球やるか・・・」

そんなことが頭に浮かび、気がついたらこの地に来ていた。

前知識はゼロだった。到着して初めて「首都はヴィルニウスと言うらしい」

「僕が気になっている野球チームはカウナスというところにあるらしい」

ということを知ったくらいだ。

とりあえず到着してから宿を取り、今後の予定なんかを決めていた。

そして、こんなときに役立つのがインターネット。

到着後すぐにインターネット屋に向かったのは言うまでもない。


ところがリトアニア、日本語環境が読めるネット屋が本当に少ない。

到着した当日に訪れたネット屋数軒は、1つのパソコンからも読めなかった。

さらに次の日、またもやネット屋を探し出しては日本語が読めるのかチェックする。

またダメだ、読めない。


「あぁ、ダメだ。なんか気分悪いし、疲れたな・・・

 そうだ、何か食べよう!」

いつのまにか、パソコンの前に座ったまま4,5時間もいたので

お腹もすいて、なんとなくイライラしていた。

いい考えだと思い、ネット屋を出る。

すると店を出てすぐのところに、日本のキオスクのような小さな店があって

そこから何とも美味しそうな香りが漂ってきた。

「ケバブ屋か・・・ま、なんでもいいや」

とその店の正面に回り、僕は

「こんにちは、ケバブ1つください」と英語で注文した。

キオスクの中に入っていた店員が、僕を一瞥したあと

「OK!」と答える。そして僕は、ぼーっとしながら

彼がケバブを作るところを見ていた。


すると彼は、作業している手元のケバブに目をやりながら

おもむろに「クニハドコ?」と聞いてきた。

僕は聞き取れず「え?・・・」と固まってしまった。リトアニア語??

彼はまた「クニハドコ??」と聞いてくる。

何て言っているんだろう?きっと

「ケバブにたまねぎは入れるか?」とか「辛いソースと甘いソース、どっち?」

なんて僕に聞いているんだろう、でも何て言ってるのかわかんないよ・・・


すると彼は「ニホンノヒトダヨネ。シュッシンハドコ??」

と言ってくる。 あれ??この人、日本語しゃべってる???

「え?日本語???」

「ソウデス。ニホンノヒトデスヨネ?」

「はい」

「ヨカッター。コエカケテマチガッテタラ、カッコワルカッタヨー!」

ちなみに僕、向こうの流暢な日本語に対し、なぜか英語で答えていた。

それくらい意表をつかれた。


「はじめまして!私はマムと言います。横浜に7年住んでたんだよ。

 なんでこの時期にカウナスに来たの?リトアニアは寒いでしょう??」

ものすごい流暢な日本語だった。僕はそれまでキューバにいたせいもあって

数ヶ月間、日本語を使う機会が全くなかった。

ストッパーが完全に壊れた僕は、マシンガンのように彼と日本語で会話をした。


「へ~、リトアニアに野球あるんだー?

 日本で野球たくさん観てたから、また観たいなぁ」

「こんなに寒い時期にカウナスに来た日本人なんて初めて見たよ(笑)」

「あ、日本語が打てる店ね。ここから15分ほど歩いたところに・・・」

と、情報までくれた。さらにマムさんは

「こんなに寒いとラーメン食べたくなるんだよね~

 伊勢佐木町に美味しいラーメン屋があってさ~」

「は!マムさん、伊勢佐木町なんて知ってるんですか!?」

「うん。横浜中央市場で働いてたからねぇー。懐かしいなぁ中央市場!

 シオタさんって人に、本当にお世話になってさ~。

 あ、外寒いでしょ!お店の中に入ってきなよ。こっち暖かいから!」

と言って、店員だけが入れる店内に僕を招き入れた。

それから僕は1時間ほどかけて彼の上京物語を聞いた。


イラン出身のマムさんは、空手を勉強するために日本に長期滞在したそうだ。

朝は2時から市場で仕事をして、仕事が終わるや道場に行き稽古、

そのあと語学学校に通い日本語の勉強、夜に帰宅。

そして朝2時に再び市場で仕事・・・

この3ヶ所を行き来する生活を7年続けたそうだ。


「もうねぇ~、仕事も稽古も学校も大変だったけど、毎日本当に楽しかったなぁ。

 日本には良い思い出しかないよ。

 給料日になると、必ずシオタさんがキャバクラ代おごってくれてさ~」


そしてマムさんは横浜中央市場で運命の出会いをする。

リトアニアから来ていた女性と知り合い交際、結婚する。

「シオタさんが、“マムにはもったいない美人の奥さん”って言うんだよねぇ。デヘへ☆」

と言って、鼻の下を伸ばした。ちなみにイラン出身のマムさんと

リトアニア出身の奥さんとの会話はいまでも日本語だそうだ。なんか、すごいな。


そしてマムさんは程なくして奥さんの国、リトアニアに行くことを決意した。

「いや~、リトアニアに行く前日にシオタさんと朝まで飲み明かしてさ~

 シオタさん、泣くんだよね~。ワタシも涙出てさ~・・・

 あの日はキャバクラ何軒行ったか覚えてないよ~」

リトアニアに到着したマムさんは、日本で貯めたお金を使ってレストランを開業するも

共同経営者に騙されてしまい、お金を全て持ち逃げされてしまったそうだ。

「お金は無くなっちゃったけど、日本で手にしたのはお金だけじゃないの。

 ワタシは何時間でも仕事ができるんだよ!

 それは日本で覚えたことで、本当に役立ってるよ。

 リトアニアの人はみんなびっくりするけど、ワタシいつも15時間働いてるから。

 日本の年末とお正月はもっと働いたよ。市場は忙しいからね。

 でね、シオタさんといつも市場の食堂で“カツ定”食べたんだよ。

 美味しかったなぁ、“カツ定”」

マムさん、レストラン経営に失敗したあと、ゼロから出直して

今ではカウナスのメインストリートに自分のケバブ屋を1軒持っている。

持ち逃げされてから、たった2年の話だ。


「あ、ヤギさん、音楽聴く??」

と言って、マムさんは僕の返答を待たずにラジカセにCDをセットした。

「このCD、シオタさんからもらったんだよねぇ」

爆音で流れだした音楽は、山本譲二。


♪一人前の男になりたい~

 ただそれだけで~あとにした故郷~


 友よ~覚えてるかい?語り合った夢の話を~

 友よ 友よ 信じあったあの日のロマン~♪


良い歌だ。聴いていたら目頭が熱くなった。


マムさん。

僕が、リトアニアで初めてできた友人だ。

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2007年6 月 6日 (水) カテゴリー: リトアニア生活 | 個別ページ | コメント (20) | トラックバック (1)

わかりかけてきた色々なこと

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僕が所属しているチーム『カウナス・リトアニカ』は外国人選手に対して

VIP待遇とも言える環境を与えてくれている。

しかしね、待遇が良ければ良いほど、プレッシャーというか

なんか見えない力が僕の肩の上にずっしりと・・・

現在『助っ人』という言葉の重さを、本当に嫌になるくらい感じておりますわ。


外国人選手は現在僕とアメリカ人選手1人の、計2人。

(数日後に、もう1人のアメリカ人選手が合流予定)

待遇内容をざっと言うなら

チームは僕にアパートの一室をあてがってくれ

料金の半額近くを向こうが支払ってくれている。


それと車ももらった。

日本製の車で、けっこうぼろぼろなのだが

そこはやっぱりMADE IN JAPANで、走行にはまったくの問題はない。

使用するにあたって保険代や修理代が必要だったのだが

僕が払ったのはこの料金だけだった。


そしてとどめ、バスケの試合観戦!!

しかも普通の試合ではなく

リトアニア内では超メジャースポーツであるバスケのプロリーグの試合で

しかもプロ野球で言うところの日本シリーズにあたる最終決戦の

(バスケだと何て言うの?)

超重要な試合観戦に連れて行かされた。

当然この試合のチケットはプレミアで、中々手に入らないらしいのだが

バスケ好きのアメリカ人選手が「バスケの試合を生観戦したいんだけど」

という何気ない一言で、なぜか僕の席までが用意されてしまった・・・すげぇな。

チームメイト数人も僕らに便乗して『付き添い』と名乗って入場した。

この試合がどういうものかをリアルに知っている彼らは

もう会場入りする前から大興奮で、僕ら以上に喜んでいた。

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カウナス対ヴィルニウス!!

この2チームが毎年プレーオフまで進んで、ほぼ毎回頂上決戦をしているそうだ。

僕らが観戦した試合は、両チーム2勝2敗でむかえたプレーオフ第5戦。

先に4勝したチームがチャンピオンに決定するので

この第5戦を勝ったチームが断然有利になる。


会場は暖房施設もなく、だだっ広い印象なのだが

それらを埋め尽くす完全に飽和状態な観客数たちが放つ

ものすごい熱気によって、Tシャツ1枚でも暑く感じるほどだ。

ちなみに会場外の気温はだいたい10℃前後で、まだまだ肌寒さを感じる。


試合開始。

ヨーロッパ各地で見られるサッカーの熱狂的なサポーターに似て

大声、旗、手拍子で選手たちを盛り上げる。

ただサッカーサポーターと違う点は、危険な匂いを感じないことだ。

健全な、明るさを感じる。

間違いなく、応援しながらマ●ファナだとかコカ●ンはやってないだろうな(笑)


試合は開始当初からカウナスリードのまま進んでいく。

カウナスがホームの試合なので

当然カウナスサポーターが9割以上を占めている観客席は

否応なしに、ものすごい盛り上がりをみせている。


そしてさらに、試合を止めて作戦タイム(何ていうの?)のために

選手たちが各々のベンチに待機している間

チアガールが出てきて、色々なダンスを披露するのだが

観客たちは、試合同様にものすごい大きな手拍子で、チアガールたちを盛り上げる。

チアガールたちは、出てくるたびに色々なダンスを披露するのだが

どうやらいつも、踊るダンスの順番が決まっているらしく

バスケ狂の、僕のチームメイト数人は

「ヤギ、次のダンスはシャッターチャンスだぞ!!撮ったら俺にその写真くれ!!」

「え~?この後の、もう1つ後のダンスのほうが俺は好きなんだよなぁ~。

あ、俺もその写真くれ!」

などと言い合っている。どこの世界も男の美意識は一緒だ(笑)

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試合が終わりかけたころ、ヴィルニウスがものすごい追い上げを見せ

「カウナス、逆転されるかも!?」という試合展開に

もう会場は大スイングで、ドッカンドッカン沸いた。

なんか格闘技の試合を見てる感覚に近いなー。


ただ試合中、どうしても忘れられない光景が1つあった。

観客の熱狂が最高レベルに達したとき

敵であるヴィルニウスの監督が、審判のジャッジに抗議する意味合いで

コートに落ちていた紙テープを、観客席に向かって投げた。

その瞬間、四方八方の観客何千人?何万人?がいっせいに彼に向かって中指を立てた。

リトアニア人の腕は皆太い。常識を超えてぶっとい。

それから手は分厚い。なんかもう、形容できないくらいにすごい。

そんなものを所有する彼らが「ビシッツ!!」と天に向かって、まっすぐに両手をかかげ

「ビンッッ!!!」と中指を突き上げている。

笑えない光景だった。こえ~ぇ・・・

一瞬の出来事で、写真を撮る余裕がなかったのだが

次回バスケに行ったら、彼らの中指風景をぜひ撮ってみよう。

まじ、ゾッとしますよ。


結局ヴィルニウスの追い上げを振り切ったカウナスが勝利を収め

会場全体がハッピーな空気に包まれた。

もしこれがイタリアのサッカー会場だったら

この雰囲気のまま帰り道で肩を組みながら歌ってるヤツらとか

車から箱乗りしながら旗を振ってるヤツらがいて

警備中の警察官も「まぁ仕方ねぇや。イタリア勝ったし」なんて感じの光景を

目の当たりにするのが普通なのだが

リトアニアはちょっと違って

会場内の大歓声とは正反対に

会場を出ると、もう熱気は収まり

皆自分の車に乗り込んで、そのまま帰ってしまう。

バスケ場付近は車で渋滞しているものの

狂ったとしか思えないクラクションの鳴らし合いもなければ

ボンネットの上でダンスするようなヤツらもいない。

静かだ・・・


会場内の健全な騒ぎっぷり、あの中指の迫力、帰宅時の穏やかさ

全てにギャップを感じた。どれが本物のリトアニア??

いや、全部足してリトアニア!!

(ちなみに第6戦でも勝ったカウナスは、今シーズンのチャンピオンになりました)

2007年5 月31日 (木) カテゴリー: リトアニア生活 | 個別ページ | コメント (6) | トラックバック (0)

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