いきなり唐突でアレだが
シチリアにある2都市、パレルモとカターニャの話を。
サッカーで例えるとわかりやすいのだけれど
いま、イタリアサッカー・セリエAにはシチリアから3つのチームが出ている。
パレルモ、メッシーナ、カターニャ。
ちなみに日本人選手で言うと
メッシーナには柳沢が去年まで、そして今年から小笠原が
カターニャには森本が在籍している。
そして、とにかく仲の悪いパレルモとカターニャ。
サッカーが詳しい人なら分かるかもしれないが
シチリア人の言う「ダービー」とは、パレルモ対カターニャのみを指し
パレルモ的にもカターニャ的にも「メッシーナはどうでもいい」という感じだそうだ。
(メッシーナの「敵」とは、レッジーナを指すらしい)
で、パレルモとカターニャの両地方は
歴史背景的にも色々とあるらしいのだが
めんどくさいので聞いてみた事はない(笑)
そして野球にも、一応ダービーは存在する。
選手同士の感情は「あんま、ここだけには負けたくないな」
くらいの緩い気持ちな感じなのだけれど
何でもかんでもサッカーに当てはめたがる観客の感情は違う。
我がチーム・パレルモがカターニャに行くと
わずか100人ほどの観客から大ブーイングを受ける。
初めてブーイングを受けた僕は
「悪役レスラーみたいでかっこいいな☆」
などと、呑気な気分だったのだが
試合中、何度か観客に向けて中指を立てたことがある(笑)
今年はさすがに「プロのはしくれとして」などと
意味のわからない意識が芽生え、中指は自粛してみた。
しかし今年、カターニャでの試合後
みんなでピザ屋に行って食事をしていたときのこと
チームメイトの1人が僕にTシャツをプレゼントしてくれた。
胸に大きく「パレルモ」のロゴ。
僕は必要以上に喜び、それを着ながら食事をとった。
そして食事を終えて立ち上がり、ピザ屋の出口に向かう途中
「おい、なんであの中国人はパレルモのTシャツを着ているんだ??」
という言葉が耳に入る
「バーカ。中国人じゃねーよ、パレルモ人だよ」(僕的和訳)
と、その若い集団に向かって僕が言ったとたん
僕の周囲にいたホンモノのパレルモ人が、歓喜と同時に青ざめたのがわかった。
「おい、ヤギ!おまえは言い過ぎなんだよ!このFUCKIN’中国人!!」
などとステキな一言をかけられ
「それを脱いで、今すぐおまえはバスに乗れ!小屋に戻れ、このクソ犬!!」
と促されてしまう。
結局バスに押し込められた中国人を尻目に
パレルモ人とカターニャ人は、わきあいあいと語り、抱き合い
何事もなくバスに乗り込んでカターニャの地をあとにした。
とにかくパレルモとカターニャは仲が悪い(笑)
で、何が言いたいかというと
パレルモ対カターニャのサッカーの試合を観てきた。
日本から遊びに来ていた友人たちを半ば強制的に連れ回して
観てきたのだが、行って良かった。
サッカーの試合というより、何か、いかがわしいものを観ている気分だった。
例えるなら、ボールを使った殺し合い。
試合後、パレルモ人が「俺はこの試合の話を1年間し続けるぜ!」
と言っていたのが印象深い。
いつかの日か、野球版・パレルモ対カターニャ戦もこんな雰囲気になっていたら・・・
何を置いてもパレルモに戻るつもりだ☆